top of page
  • 執筆者の写真香月葉子

VRヘッドセットと仮想現実の楽しみ方 | メタクエストの場合

更新日:5月5日


触覚フィードバックの重要性

 VRヘッドセットにコントローラが付き物なのは、コントローラがもっているバイブレーション機能が、仮想空間やメタバースで遊ぶときには、とても大切な要素のひとつになるからです。


 VRゲームの世界では「ハプティック・フィードバック」(触覚フィードバック)がなければ何もはじまりません。


メタクエスト2の写真
メタクエスト2(Meta Quest 2)

 


 なにかを選択したときや、仮想現実空間でなんらかのアクションをしたときに、その結果や成果をバイブレーションやその他の電気的刺激で伝えてくれるからこそ、その幻想の世界で起こったことが、まるでほんとうの現実の世界で起こったことのように感じとれるのだとおもいます。


 仮想の世界での出来事を、まるで現実の世界での出来事のように信じるためには、なんらかの刺激を体に伝える方法がいちばん手っ取り早いのでしょう。


 体感なしには、夢は夢のままでしかありません。


 仮想空間のなかで指先に蝶々がとまったとき、なんの刺激もなければ「あ、これって、やっぱりたんなる仮想現実の世界なんだ」と夢から覚めてしまいます。


 蝶々がとまった瞬間、ブルッと手がふるえたりすることで、夢の世界が現実に起こったことのように錯覚されるのです。

 つまり、CGで描かれた蝶々が、じっさいに指先にとまったかのように感じとれるのです。


 また、VRゲームの野球や卓球やバスケットやボーリングで遊んでいる時、たとえば、野球のボールを受けたときや、それをバットで打ったときに、ブブッというような振動がつたわってこなければ、すべてのアクションはまさに「絵に描いた餅」になってしまいます。

 このような意味で、VRゲームの世界では触覚フィードバックをもたらしてくれるお道具が、かならずと言っていいほど必要となるのでしょう。



エリートVRプレイヤーとクエスター

 話はかわりますが、「Occulus Rift(オキュラス・リフト)」や「HTC Vive」、「Valve Index」、そしてわが国が誇る「Playstation VR」で、2016年のころからVR世界で遊んでこられた方々がおられます。


 VR世界で「エリートVRプレイヤー」と呼ばれている方々です。


 ですから、たとえオタクでハードコアでニッチ市場などと批判されても、その世界はその世界なりの歴史と奥深さをもっているのです。

Valve Index ヘッドセットの写真
ヴァルヴ・インデックス(Valve Index)

 たとえば、わたしのように、ようやく2021年からMeta Quest 2でVR世界へのデビューを果たしたプレイヤーなどは、ほんとうに新参者で、VRのSocial Game(ソシャゲー)で有名な「VR Chat」や「Rec Room」などに入って遊んでいるときでも、いわゆる『Quester(クエスター)』と呼ばれるタイプに分類されているようです。


 差別されているわけではありません。


 それなりに丁寧な「あたらずさわらず」の対応をされることはあります。


 そういう「エリートVRプレイヤー」の方たちは、たいてい高性能なWindowsマシンにケーブルでつながった状態でVR世界を楽しんでおられるので、スタンドアローンで遊んでいる状態のメタクエスト2のスペックでは、どうがんばっても追いつけないところがあるからです。

オキュラス・リフトのヘッドセット写真
オキュラス・リフト(Occulus Rift)

 とくに「VR Chat」などでは、可愛らしいアニメ風アバターをはじめとして、考えられる限り多種多様なアバターを使っているプレイヤーのみなさんがいて、そういう方々は、自分のアバターの手足すべてを自由自在に動かすことのできるボディトラッキングを身につけておられるので、わたしたちのように腰から下だけが奇妙な動きをみせる『クエスター』にはすぐに気がついてしまうようです。

 ただし、それは去年の中ごろまでの話で、いまではトラッキング用のデバイスを足首に装着しなくても、おおよその足の動きを予測しながらシミュレートしてくれますので、わたしたちクエスターのアバターにも、ちゃんと下半身がそなわるようになりました。

 素晴らしいアップデートに感謝しています。



仮想空間と視覚の体験化

 とにかく、VR Chatのような仮想現実空間の世界では、架空のアバター同士が互いに握手をしたとき、現実世界でじっさいに握手したときと同じような触感を味わえるように、さまざまなハプティック・グローブ(触覚手袋)を使っている方たちがいます。


 また、仮想空間での戦闘ゲームをプレイ中に、相手から殴られたり蹴られたり、または銃弾を受けたりしたときに、殴られた箇所や弾を受けた箇所に、それなりの電気的な刺激を発生させるようなハプティック・ベストや全身用ハプティック・スーツなども売られています。


 つまり、スティーヴン・スピルバーグ監督が制作した『Ready Player One』というSF映画に描かれていたようなVR体験と仮想現実空間に、あと数歩で追いつくかも、というようなところまで進化してきたのが、現在のVRゲームプレイヤーの世界なのです。


 いちどでもヘッドセットをつけてVRゲームをなさった方ならわかってくださるとおもいますけれど、Playstation用コントローラーやNintendo Switch用コントローラーのHD振動が大切である以上に、仮想現実空間でのゲームには触覚フィードバック(Haptic Feedback)がとても重要な鍵をにぎっているとおもいます。


 とはいっても、最近発売された『Apple Vision Pro』は驚くほど正確に手の位置をトラッキングすることが可能だということですし、しかも、その手指のジェスチャを正確に反映したアクションを、なんの遅れもなく起こすことができるらしいので、わざわざ他社の製品に似通ったコントローラーを作る必要はないとおもわれます。

アップルビジョンプロの写真
Apple Vision Pro(写真はFreebiehive.comのFree PNG imageから)

 なぜなら、さまざまなパターンのバイブレーションを発生させることのできるリング、もしくはリストバンドのようなものを手首にはめるだけで、そのまま触覚フィードバックを得ることが可能になるでしょうから。


 あとは、さまざまな手指のジェスチャに応じて変化するバイブレーション・パターンを発生させれば済むことだとおもいます。


 みなさんご存知の『Beat Saber(ビートセイバー)』で、前方から向かってくるブロックを切った瞬間に手首がブルッとふるえたり、『ピストルウィップ』で銃を撃つたびに手首がズンッとゆれたり、仮想現実空間のなかで見かけたお化け屋敷のドアをあけるときに、ブブブゥ~と手首がふるえたりすれば、それなりに『Immersive Experience(イマーシヴ・イクスペリエンス:没入型体験)』を味わえるのではないかとおもいます。



メタクエスト2による映画体験

『Apple Vision Pro』を褒めたたえている海外のYouTuberの方々のなかには、メタクエスト2の映画体験はひどいもので、とくにAmazonの『Prime Video VR』アプリで映画を観ると、画像の質の悪さだけでなくバグの多さからも吐き気をもよおした、とまで言っている方がいます。


 でも、クエスト2をお使いの方なら、どなたでも「プライムビデオVR」アプリはダメだクズだ(ごめんなさいね、Amazonさん)ということはご存知のはずです。


 それに、映画を観るだけの目的でしたら「Skybox」というアプリを使うのがいちばんです。

 わたしに3D映画の凄さとすばらしさを教えてくれたのもこのアプリでした。


 いったん3D映画にならされてしまうと、平面ディスプレイで映画を観ようという気がおこらなくなります。


 まさに「感性の革命」といった体験だったのかもしれません。


 映画の楽しみ方はほかにもいろいろあります。


 超人気の「Bigscreen VR」ゲームのなかに入り、仮想現実空間に作られたさまざまな趣向をこらした映画館へ出かけていくこともできます。


 そこで、自分好みの席を見つけて腰かけ、世界中の方々と仮想現実のポップコーンを投げ合ったり、オレンジジュースをじゅるじゅるとすすったりしながら、無料映画を楽しむか、「Bigscreen VR」に無料で割り当ててもらった豪華なお部屋に友だちを招いて、みんなとワイワイガヤガヤ話しながら試写会を楽しむという手もあります。



アバターと性の多様性

 つぎに、VR世界の、とくに『VRChat』や『Rec Room』、『PokerStars VR』や『Bigscreen VR』などの、いわゆるソーシャルゲームで大切なのはアバターです。


 アバターになりきる楽しさは、Apple社のプロモーションビデオで自分の顔をスキャンするのとは正反対に『まったくの別人になれるからこそ楽しい』というひとことにつきます。


 たとえば、わたしが、20歳前後の超イケメン青年のアバターになりきって『VRChat』の仮想現実世界を徘徊(はいかい)しながら、あきらかに自分の生(ナマ)の声を使って話しているとおもわれる少女を見つけて、彼女を誘惑することが可能な世界。


 それが仮想現実空間でのアバターの楽しさなのです。


 現実の自分とはちがう自分になれる。どんなモノにでも変身できる。

 これです。


 道の向こうから背丈が2メートルほどのゴジラが歩いてくるから、なんだろうとおもって「こんにちは」と声をかけてみると、16歳くらいの少年のかぼそい声が「あ。どーも。はじめまして」と返ってきたり、セーラー服姿の可愛らしいアニメガールに近づいていったら、落ちついた中年男性の声が「わたくし、このVRChatの世界でコンビニを運営しているオーナーの◯X▽□です」と返してきたり、仮想現実空間で美しい桜並木を歩いているとき、腰に刀をさしたサムライ姿の男性を見かけたので、さっそく話しかけたら、ちんぷんかんぷんの外国語が返ってきて、なんとか英語で話せないかとお互いに苦労したあとに、ようやく相手の方がノルウェーのプレイヤーだということが判明したり…。


 ようするに『アバターとは、もとからノンバイナリー(性別不明)で、年齢不詳で、国籍も人種も問われない存在』だったのです。


 そこがアバターのアバターらしさですし、アバターがあたえてくれるスリルと快感のルーツなのだとおもいます。



仮想空間で遊ぶことの楽しさ

『Pokemon Go』を作ったNianticのCEOにとっては、じっさいの現実社会で他者とのつながりを作ろうとしないVRゲームなどは、悪夢的な未来(ディストピア)を予見させるものでしかない、ということになるらしいのですけれど、発売された当初から、いまにいたるまで、ずっと『Pokemon Go』が大好きで、楽しませてもらっているわたしですら、そうはおもいません。


 VRの良さは3つあります。


 ① ただ単純に、いままでのガジェットとはまったくちがう仮想現実の世界を見ることができるというのがひとつ。

 そのなかに入りこんで、行ったこともないし、行くこともできないだろう海外の風景をながめているだけでも、ずいぶん幸せな気持ちになれます。


 ② ふたつ目はVRのゲームで遊ぶこと。


 ③ もうひとつは仮想現実空間における擬似社会体験です。


 近づいてきた吸血鬼のアバターに話しかけたら、アメリカのアリゾナ州に住む高校教師だったり、可愛らしいカエルキャラのアバターと握手したら香港のプレイヤーだったりするのですから、国際電話というものが古代人の使っていたサービスにおもえてしまいます。


 ついさきほど「ゲームで遊ぶこと」と言いましたけれど、VRゲームによっては、有酸素運動と、ダイエットのためのエクササイズを楽しめるものがあります。


 そのために特化したゲームになると、ほんとうに汗びっしょりになってしまうほどです。


 本気で痩せることだってできます。


 これは、いままでPCゲームやスマホゲームでは不可能なことでした。


 そして、いまのところ、これらの3つこそが、一般の方たちを複合現実の世界に呼びこむために、もっとも効果的なものではないかと信じています。




❤️この記事は『Apple Vision Proの可能性と問題点 | 空間コンピュータと仮想空間』(2023年6月19日公開)からの抜粋(ばっすい)です。



無断引用および無断転載はお断りいたします

All Materials ©️ 2021 Kazuki Yoko

All Rights Reserved

Commentaires


bottom of page