香月葉子

クリスマスが近づくと思い出すローラ。南米出身の彼女はマッサージパーラーで働いていたセクシーな女性だった。

深夜0時をすぎてシカゴでタクシーをひろったら、それまで遭遇したことのない、怖い、哀しい、素敵な運転手だった。

バークレーからワインカントリーのナパへ引っ越した日、わたしが見たのは不気味な色に染まった真昼の夕焼けだった。

たんに日本人だからという理由で誘われたのだろうか。わたしは彼女のことばに甘えて優雅な孤独を味わうことになった。

ナパカレッジで働いていたアイリーンは幸福そのものだった。けれども彼女が間借りしていた家の持ち主の息子が…。

その猫を見つけたとき、長い毛はところどころ固まり、体中ノミだらけで、耳の奥には寄生虫がびっしり張りついていた。

中近東料理のお店で出会った元ヘビー級ボクシングの世界王者はすでにパーキンソン病に侵されつつあった…。

風変わりなリスと、アインシュタインの脳のスライスを研究した神経解剖学者と出会ったのは、同じ日だった。

アラブの大富豪の息子である留学生に誘われて出かけた先には「怪しいパーティ」が待ち受けていた……。

ナパカレッジで知り合ったインドネシア人のジェフリー。彼との思い出は、美しく、哀しく、しかも驚きに満ちていた。

不思議なものと出会えるので、お金がなくても立ち寄ることが多かった。そんなある日、ふたつの奇妙な中古品と出会った。

大好きなフォードマスタングを借りたのがいけなかったのだ。トランクに炊飯器をのせたままの【とんでも旅行】がはじまった。

ワインカントリーのナパで見つけた、たった一軒の中国料理店。そこでの出来事はとてもショッキングだった……。

クリスマスが近づいていた日、少年院の鉄網フェンスの内側から、その少年はじっとなにかを見つめていた…。

その映画を観てもいないのに、『エクソシスト』の内容を聞かされた彼は、ひとりではトイレに行けなくなってしまった……。

わたしの彼がローレッタにマッサージをほどこしている最中、彼女の恋人シャロンは、予定よりもうんと早くボストンからもどってきてしまった。

カリフォルニアを出発し、アメリカ横断鉄道の旅客列車のなかで2泊３日をすごし、ようやく到着したシカゴで待っていたのは……。

気がついたらアパートを飛び出していた。原因がわからない。そんな口論だった。まさかポリスカーに止められるなんて。

そこは不気味な気配を漂わせている湖だった。後年、知ったことだが、そこはある有名な連続殺人事件の現場でもあった。

アパートに移ってすぐに、金髪の巻毛が似合う、そのハンサムなオーナーの息子が押しつけてきたのは……。