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執筆者の写真香月葉子

トランプ大統領候補はなぜ暗殺の標的にされるの?

更新日:2 日前



 ご存知のように、大手メディアから伝わってきた情報だけでも、トランプ大統領候補はすでに2度も暗殺されそうになっています。


 そのことについては、いままでのところ、つぎのことがわかっています。



暗殺未遂事件の背後にはイランが?

かつてCIAの長官だったレオン・パネッタによると、ペンシルヴェニア州のバトラーでトランプ候補が選挙集会を行なっているときに狙撃された2024年7月13日の事件については「暗殺未遂事件の背後にはイランの影があると考えられる。英国のMI6もその情報を得ていた」らしいのですけれど、この情報そのものが正しいのかどうかの客観的な証拠があがってこないために確証は得られていません。


元CIA長官レオン・パネッタの写真
元CIA長官レオン・パネッタ (www.fairobserver.comより)

 元CIA長官によるこの話題は、いま、これをお読みになっている最中にもますます泥沼化しているロシア・ウクライナ戦争の拡大と、ネタニヤフ首相ひきいるイスラエル軍(IDF)による近隣のアラブ諸国5カ国(パレスチナ自治区・シリア・イエメン・レバノン・イラン)への攻撃による紛争の段階的拡大のせいで、ホットコーヒーからたちのぼる湯気のように消えてしまいました。



シークレットサーヴィスは何をしてたの?

2024年7月13日バトラーでの集会会場での暗殺未遂事件で、単独犯だと「伝えられている」20歳の白人青年トーマス・クルック君がライフルをかついで歩きまわり、その姿が多くの来場者たちの目にとまり、警察に通報されていたのにもかかわらず、シークレットサーヴィスの方々はまったく動こうとしなかっただけではなく、トランプ候補暗殺にもっとも使われる可能性があるとみなされていた建物にはなんの警備もおかず、しかもその建物の屋上にライフルをかついだ青年がのぼってゆく動画までもが一般人によって撮影・公開されたせいで、ソーシャル・メディアでの『奇妙なウワサ』の拡散を食いとめることができなくなったためか、さっそく公聴会がひらかれ、シークレットサーヴィス会社の怠慢が責められましたが、その話題もいつのまにかホットチョコレートからたちのぼる湯気のように消え失せてしまいました。


 ここでいう『奇妙なウワサ』というのは、この暗殺未遂事件にはシークレット・サーヴィスの会社組織そのものが関係していたのではないか、また、その背後から糸を引いていたのはFBIやCIAだったのではないかというもので、大手メディアはそのようなSNS上のさまざまな憶測については、いつものように『陰謀説』というレッテルを貼って封印していたのをおぼえています。


トーマス・クルックの写真
バトラーでの暗殺未遂事件の主犯だと「みなされている」トーマス・クルック

トランプ暗殺未遂事件が発生した公演会場近辺の地図
トランプ候補暗殺未遂事件が発生した集会会場近辺の建物配置図

 ところが、2024年9月15日、フロリダにあるトランプゴルフ場での暗殺未遂においても、前回と同様に、トランプ候補がもっとも狙われやすいとみなされていた場所への柵がこわされていたのにもかかわらず、シークレットサーヴィスの方々は12時間以上にもわたってそれを放置し、暗殺未遂をおこなったとみなされた58歳の男性がそのあいだずっとAK-47風のSKSライフルをたずさえてそこに待機していたことにも「気がつかなかった」と伝えられています。


AK-47風SKSライフルの写真
フロリダでの暗殺未遂で使用されたAK-47風SKSライフル



トランプ候補の会社の株が事件の直前に空売りされてた?

7月13日にペンシルヴェニア州のバトラーでの選挙集会でトランプ候補が暗殺されそうになったとき、その前々日にユダヤ系投資家の億万長者ジョージ・ソロス氏と世界主要各国の銀行株の大部分を保有しているロスチャイルド家の資産の一部を運用しているテキサスの会社オースティン・プライベート・ウェルス(APW:オースチン個人資産)が、12億ドル分(1ドルを150円で計算すると1800億円分)のTMTG株(トランプ・メディア&テクノロジー・グループ)を『空売り』していたことが判明しました


 TMTGはその会社名でもおわかりのようにドナルド・トランプ大統領候補が所有している会社です。


 そしてテキサスに拠点をおいているこのAPWという会社は、このソロス氏とロスチャイルド家の資産の運用をまかされているだけではなく、世界最大の資産運用会社ブラックロックならびにヴァンガード(本社はペンシルヴェニア州)の主要株主であることもわかっています。

 そのため、さまざまな憶測(おくそく)が飛びかっていますが、APWはすぐにトランプ株の空売りにつながるブルームバーグ上の端末情報をすべて消してしまい、暗殺未遂事件の翌々日には「あれは取引を行った際に発生したたんなる事務的ミス(クラリカル・エラー:clerical error)でした。わが国にとって不安をおぼえずにはいられないこんな時に世間をお騒がせしてまことに申しわけなくおもっています。いま調査しているところですが、空売り額も12億ドルという額にはならないはずです」というような弁明を発表しました。


 けっきょく『空売り』をした方たちはかなりの損失をこうむったらしく、トランプ候補のバトラー暗殺未遂事件の翌日にはTMTG株は31ドル25セントから46ドル17セントにまで上昇しました。


 このことは、つまりトランプ候補の身になにかが起こって、彼の会社であるTMTGの株が2日後には急激な下落をみせるだろう、ということを個人の投資家もしくは数人の投資家、あるいはある特定の資産運営会社が予想できていたのではないかと疑われることにもなりますから、とうぜんさまざまなウワサがひろがったのもムリはないことかもしれません。


 20世紀のフランスの哲学者サルトルさんのお言葉『実存は本質に先立つ』(Existence precedes essence)をお借りすると『現実は陰謀説の先を行く』(Reality precedes conspiracy theories)と言えるのかもしれませんね。



ゴルフ場の犯人はブラックロックの宣伝に出ていた?

今回9月15日のフロリダのゴルフ場における暗殺未遂事件の渦中に投げこまれた58歳の白人男性ライアン・ウェスリー・ルースは、ソーシャルメディアの『X』上でCIAの女性新人採用担当者の目にとまり、彼女とメールなどのやりとりしたあと、そのほかのCIA要員ともコンタクトをとったことがわかっていますし、その証拠も残っています。


ライアン・ウェスリー・ルースの写真
フロリダでの暗殺未遂事件の主犯とみなされているライアン・ウェスリー・ルース

 彼はウクライナのためにロシアを相手に戦おうというアメリカ人グループのリーダーをつとめることにもなった人物です。


 なんと、この男性へのインタビューが2022年に『Newsweek』誌によっておこなわれていて、「ウクライナのために戦うことが正義なのです」と訴えかける彼の姿が反ロシアのプロパガンダに使われただけではなく、ペンシルヴェニア州での7月13日の暗殺未遂事件の主犯とみられている20歳のトーマス・クルック君とともにブラックロックの宣伝に登場していたこともソーシャル・メディアで話題になりました。


 そのため、これらはすべて『陰謀説』のひとつです、と否定する真偽検証(ファクトチェック:fact checking)のためのウェブサイトのひとつ『VERIFYThis』(この真偽を確かめて)によるビデオがすぐさまアップロードされました。


 ただし、トーマス・クルック君については認めざるを得なかったようで、「たしかに彼はブラックロックの宣伝には登場していますけれど、謝礼を受け取ってはいませんし、宣伝のために雇われた俳優でもありません」という苦しい弁明を強いられていました。


ライフルの銃弾に傷ついたトランプ候補の写真
ペンシルヴェニア州バトラーでライフルの銃弾を受けたトランプ候補

 くわえて、今回の主犯とみなされているライアン・ルースに関してはブラックロックのスポークスマンが「宣伝のためにこの人物を使ったことはない」と述べているとしめくくり、『ネット民』と呼ばれる方々からの嘲笑をさそってしまったようです。



それを本人にたずねてなにか意味があるの?

 たとえば「このたびファイザー製薬会社が作ったワクチンに関して、人体に危険な副反応はあるかどうかをファイザー製薬会社のエグゼクティブにたずねたのですが、彼ら全員から『安全でかつコロナウイルスに対しての効果がある』との答えを得られたので危険性はないとみられます」というニューズを目にしたら、みなさんだってお笑いになりますよね。


 だって強盗の犯人かもしれないと疑われた人物に「あなたは強盗をしたのですか?」とたずねたのだけれど彼は「わたしはしていない」と答えたから彼は無実だとおもいます、と言っているのとおなじことですから。


ステージの上のトランプ候補の写真
選挙演説にのぞむドナルド・トランプ候補

 ご存知のように、いくら「わたしは無実です」とか「わたしは悪くありません」と力説しても、近代国家における法のもとでは、それを証明するための客観的証拠、つまり第三者による証拠を提出しなければいけません。


 本人が自分が不利になることを真実だとみとめたときにおいてのみ、つまりみずから罪状をみとめたときにだけ、『自供』というかたちで本人の言説がみとめられるのですけれど、「していません」と否定した場合には、かならず客観的証拠によって「していない」ということを立証できなければいけません。



まだまだ油断はできない?

 とにかく、これらの話題にくわえて、現在は民主党とCIAとトランプ候補の暗殺未遂事件との関係など、ネット上ではさまざまな「憶測」と「ウワサ」がひろがっていますけれど、調べたところ、客観的で確実だとおもわれる事実と証拠は目につきませんので、そのことについてはお伝えしないでおきます。


 そもそも、どうしてこんなにトランプ候補は暗殺の標的にされてしまうのでしょうか。


 どうしてこれほどトランプ候補の命を奪いたい方々がいるのでしょうか。


 2度あることは3度あるという冗談は不謹慎(ふきんしん)すぎるかもしれませんけれど、鉄砲の弾だけではなくて、毒物やウイルスや急性放射線症候群(radiation poisoning)や交通事故など、不慮の事故にみせかけて暗殺される可能性もありますので、まだまだ油断は禁物だとおもいます。


 あまり何度もこういうことがつづくとトランプ候補が辞退(じたい)してしまうことだってありえます。

 とは言っても、彼を排除したい側の方々は、じっさいにそうなることを望んでいるのかもしれません。


 なにしろ彼が属している『共和党』側の議員たちも、ほとんどは反トランプ候補のようですし。

 

 最近では、あの骨の髄(ずい)まで共和党員と言われ、1990年から始まった湾岸戦争のときに国防長官を務め、2003年から始まったイラク戦争のときには副大統領を務めていたディック・チェイニー氏ですらもがカマラ・ハリス候補の応援にまわるという、ほんとうにシュールリアリスティックな昨今の世界情勢のなかでも、さらに魔術的なまでの「身のふりかた」を見せてくださいます。


 それはとにかく、トランプ候補を抹殺したい方々には、もちろん、それなりの理由があるからなのです。



トランプ候補に死んでもらいたい理由とは?

 まず、ひとことで言えば、トランプ候補は『戦争屋』(warmonger:ウォーモンガー)ではありません。

 根っからの『商売人』(merchant)だといわれています。

 それが原因だと考えられています。


 また、彼は火付け役(agitator : アジテーター)でもありません。

 取引・交渉を仕事にして生きてきた人(dealmaker:ディールメーカー)ですから。


 スケールの大きさはちがいますけれど、あくまでも不動産屋さんのひとりなのです。


 ただし、今回は彼のラニングメイト(副大統領候補)が J.D.ヴァンス氏なので、先行きはわかりません。

 なぜならJ.D.ヴァンス氏という方は、過去には「戦争大賛成派」でよく知られた方ですし、軍産複合体とべったりの宣伝マンと言われたような方ですから。

 でも、トランプ候補とつながったことで、そのあたりの方向性をすこし変えなければいけなくなるかもしれませんが、どうなのでしょうか。


 ところで、オバマ前大統領は歴代アメリカ合衆国大統領のなかでもっとも多くの戦争を始めだけではなく、他国の国民の命をもっとも多く奪った(とくにシリアやイエメンなどの子供たちの命)『戦争犯罪人』とも呼べる大統領だと批判されていました。


 このオバマ前大統領がノーベル平和賞を受賞したとき、作家のゴア・ヴィダルは「スウェーデン人にもブラックユーモアのセンスがあるという事実は、だれにノーベル平和賞を与えたかを見れば明らかだ」と書いたことがあります。


 さて、彼とは逆に、戦争をしたがらないトランプ候補は、米国の軍産複合体(Military-industrial complex)を運営している銀行と、巨大資産家たちが保有している武器製造会社のレイシオンやロッキード・マーティンやグラマンなどの株を運用しているウォール・ストリートにとっては、おいしい利益を生み出すつもりのないやっかいで困った候補のひとりです。


 なぜなら、某国と戦争をしなければならないという理由づけで国民の税金を吸いあげ、そこから得た巨大な利益によってアメリカ議会と政治家を買い取っているのが献金者たちなのですけれど、彼ら超富裕層の方々や巨大資産家たちにとっては、彼らがあたえる賄賂と彼らが所有しているシンクタンクの口車に乗っかって「ホイホイ」と戦争をしてくれないドナルド・トランプ候補はちょっぴり都合の悪い相手なのです。


 また、それ以上に困ったことがあります。

 トランプ候補の場合は、彼らに利益をもたらさないどころか「危なっかしい」「けむたい」候補のひとりでもあります。


 なにしろ「ロシア・ウクライナ戦争はわが国アメリカがウクライナでクーデターを起こしたせいだ」とか「イスラエルはわたしが彼らの望むことをやってくれたらたくさんのお金をくれると約束してくれた」とか「9/11アメリカ同時多発テロ事件におけるツインタワーの崩壊はあきらかに爆弾が仕掛けられていたことによるものだ」なんていうことを、テレビの生放送や講演の最中にとつぜんポロリとこぼしたりして、支配層(the Establishment)の方々からすると、ほんとうにヒヤヒヤさせられる実に「やっかいな」人らしいのです。

ドナルド・トランプ大統領候補の写真
ドナルド・トランプ大統領候補

 現在のアメリカの支配層は「同盟国に武器を売りつけること」「他国のエネルギー資源を盗むこと」「破壊した他国の街や道路やダムなどのインフラを米国企業によって再建する」ことによって、武器製造会社と石油会社と米国の大手ゼネコン(たとえばディック・チェイニー氏がCEOをしていたハリバートンなど)によってお金を儲けようとしている人たちで成り立っています。


 トランプ候補の場合は、そんな彼らの意向に従わないだけではなく、彼らがつくりあげたメディア用の台本(ナラティヴ)を無視して、いつどこでなにを言い出すのか、また、しでかすのかまるでわからない『危険人物』(ルース・キャノン loose cannon)だとみなされているらしいのです。


 かんたんにまとめますと、トランプ候補はつぎの4点で『暗殺の標的』にされる、と考えられています。


戦争嫌い:たとえばイラク共和国首都のバグダッドを破壊するよりもトランプホテルを建てたほうが良いと言ったりするから。しかも他国を見たときに最初に頭に浮かぶのはその国のホテルとゴルフ場の数だ、なんて言ったりする不動産王(real estate mogul)だから。


支配層の意向に従わない:彼自身が億万長者だから。しかも民主党と共和党の両党に同額の寄付金を渡しつづけてきた献金者(ドナー)でもあったから。(ジョー・ローガンがトランプ大統領候補におこなったインタヴューで語っています)


国民に知られてはいけない「事実」や「真実」を暴露する癖がある:なぜならソーシャルメディアによって呼吸しているこの時代ではそっちを暴露するほうが人気を得れるという計算が働いているから。


俗に『トランパー』と呼ばれるアメリカの低層中産階級の人気を独り占めにしている:トランプ候補の支持者は米国中西部という地方の「田舎」で暮らしている白人系労働者や農場経営者の大多数によって占められています。

 そのため、アメリカ合衆国議会と銀行とウォール街とIT企業と大手メディアを仕切っておられるシオニズムを信じているユダヤ人の超巨大富裕層の方々からは敵視されています。たとえば、それぞれの業界を支配しているコーポレーションのCEOたちをお調べになると、米国の人口の2%にしか満たないユダヤ系アメリカ人の少なさからは想像もつかないほど優秀な方々が多いことにおどろかされるかもしれません。しかもほとんどの方々がヨーロッパから渡ってきた白人っぽいアシュケナージ系ユダヤ人ばかりです。


 そのようなグローバル企業のトップや超巨大富裕層の方々が「われわれ資本家にたいして彼ら『反ユダヤ主義』(だと思われている)白人労働者階級がトランプを旗頭にして階級戦争(class war)を開始したのではないか」と懸念しはじめたのが2016年あたりからでした。


 もともとは2011年にはじまった『Occupy Wall Street』(ウォール街を占拠せよ)運動が皮切りになっていると支配層(the ruling class)に属する方々は考えているようです。

 あのときの運動がかかげた、あまりにもクリアでわかりやすい『1対99』というスローガンによる『1パーセントの支配層 vs 99パーセントの一般市民』という世界観(ポピュリズム:populism)のひろがりを恐れたのだとも言えます。


 ポピュリズムの対義語はエリート主義です。

 ここで言うポピュリズム(populism)とは「ひとびと(被支配層)の側へ身をよせる考え方」全般をさしていますし、エリート主義(elitism)というのは「時の支配者たちによって選ばれ、支配者たちに利益をもたらす人材であると認められ、支配者たちに仕えることを旨(むね)としている少数のひとびとの側に身を寄せる考え方」全般をさしています。


 また、ここで書きました「支配者たち」(the Establishment)とか「被支配層」(the goverened)は国家を運営している方々と国民という立場をふまえた上での定義で使わせてもらっています。


 現代の社会生活のなかでは「たとえある特定の場所や組織で命令を下す側の方も、別の場所や組織においては命令される側にならざるをえません」というレベルや「商店や会社を所有している資本家の方々も、ふだん生活しているときには消費者のひとりです」というレベルで使っているものではありませんので、どうかご理解ください。


 ところで、自分たちは神から選ばれた特別な人種であり人間なのだという考え方をさしている「選民思想」はご存知のとおりユダヤ教から生まれたものです。

 この場合、ある特定のひとびとを選ぶ存在は「神」なのですけれど、エリーティズムの場合は、ある特定のひとびとを選ぶ存在が「人間」だというちがいがあります。

 ただ、どちらの場合においても、「わたしはその他大勢の人間とはちがう」という特権意識のなかにみずからの存在理由(レーゾンデートル)を見出していることに変わりはないとみられています。


 それはともかく、トランプ大統領候補ご自身の「大統領というのはさすがにちょっと危険な職業だね」ということばは、別の意味でも正しかったようですね。



トランプ候補の腐敗度はどのくらい?

 税金の使い道とその流れを仕切ることのできるポストにいる政治家の方々からすると、とくに米国大統領という『世界最強の広告塔』の座は「腐敗・不正・汚職」(corruption)にもっとも多くさらされる役職だ、とはよく言われることですけれど、オバマ前大統領の腐敗度が世界クラスだとしたら、それに比べて、トランプ候補の腐敗度などはしょせんニューヨーク市どまりだ、とも言われています。


 民主党側の宣伝委員たちはトランプ候補をヒットラーにたとえるプロパガンダをいまだに流しつづけています。そして、いったんトランプ氏が大統領になったら、米国ではナチスドイツとおなじような政策が行われるだろう、と民主党支持者たちをふるえあがらせ、ハリウッドの有名俳優さんたちのなかにも(とくにロバート・デ・ニーロ氏やオプラ・ウィンフリーなど)このようなプロパガンダに乗っかっているお方がいますけれど、さすがにSNSの世界では失笑を買ってしまうようです。


「トランプ候補はナチズムを信奉する差別主義者でファシストでわが国にとっては危険な人物だ。彼が大統領になったらとんでもないことになる。と、おっしゃっているあなた、ちょっと失礼ですけど…あのぅ…トランプさんって、も、すでに大統領を4年間務めた方ですよね。あのとき、わが米国はナチスドイツの自称『第3帝国』みたいになっちゃいましたっけ?」


 現在のところ、ネット民と呼ばれるひとたちにとっては、これがひとつのお笑いのネタになっているようです。


 共和党側の支持者からも「彼は、ヒットラーどころか、ヒットラーの足の小指にもなれない」とみなされているのがトランプ候補だというのが現状のようです。


 にもかかわらず、8年間にわたって大手メディアのすべてから目の敵にされ、有名な月刊誌や雑誌の表紙ではヒットラーまがいの似顔絵でバカにされ、強姦にはほど遠い女性問題で裁判沙汰にされ、不動産屋さんでしたら誰でもが行っているというビジネス上の取引で裁判にかけられ、2度の暗殺未遂からかろうじて生還した方ですし、たしかに我慢強い、しかも強運な方だということにまちがいはありません。


 ただし、いまは選挙の投票(the ballot)もデジタルですから、民主党政府の側についているグローバルIT企業イーロン・マスクの『X』をのぞいて)でしたら、その選挙の流れだけではなく投票結果を操作することだってできるのでは、と疑われているようです。


 そういう意味で、いくらカマラ・ハリス候補が民主党支持者を落胆させるようなことばかりをしていたとしても、トランプ候補が敗北する可能性はあるでしょう。


 どちらにしても、この選挙戦というお祭り騒ぎの陰で、いまこれを読んでくださっている最中にも、人類を終わらせてしまうかもしれない紛争が拡大・悪化しているということのほうが、わたしたちの日々の生活と未来によりいっそう大きな影響をあたえるのではないかと感じています。


ライフルの銃弾によって傷ついたトランプ候補
ライフルの銃弾によって傷ついたトランプ候補

 右手を見ていると左手が見えなくなる。左手を見ていると右手が見えなくなる。


 手品師の方々はそのようにわたしたちの注意力を奪ったり、注意を別のところにそらしたりすることで、こっそりと財布を取り出して中身を抜き取ってみせたり、いつのまにか肩からさげていたハンドバックを別のハンドバッグに変えてしまったりして、わたしたちを楽しませてくれます。


 国そのものを運営している方々も、そういう情報操作がお上手なのかもしれませんね。


 世界が終わるまでの暇つぶしでなければいいのですけれど…。



世界の終わりへの始まりは回避できるの?

 今回のこの大統領選挙騒動の陰で、現在じわじわと悪化しているウクライナおよぶ中東における紛争の状況は、成り行きによっては核爆弾/熱核兵器(thermonuclear weapon:サーモニュークレア・ウェポン)が使われる可能性すらあるらしく「第3次世界大戦への引金」になるかもしれないと懸念(けねん)されています。

爆撃を受けたレバノンの街の写真
イスラエル軍によるレバノン爆撃(from www.nytimes.com)

 そもそも2001年9月11日をむかえるまでの時代でしたら、アメリカ大統領候補のひとりが、まだ選挙運動をしている最中(さなか)に2度も暗殺されそうになった、なんていうニューズが流れたら、世界がひっくり返るような大事件としてあつかわれて、半年以上はその話題でもちきりだったのではないでしょうか。


 でも、学者さんによりますと、現在、わたしたちヒトの注意力の持続時間(attention span)は8.25秒しかないらしいので、消えてしまうのもムリはないことかもしれません。


 金魚が保持している注意力の持続時間は9秒だということですから、金魚よりも注意力が長くもたないのがいまのわたしたちみたいですね。


 そういうわけで「第3次世界大戦 vs アメリカ大統領暗殺未遂事件」という話題でしたら、とうぜん軍配は「第3次世界大戦」のほうにあがるでしょう。

 けれども「第3次世界大戦 vs アリアナ・グランデの最新アルバム」でしたらどうでしょうか。

 おそらく「アリアナ・グランデ」のほうに勝利がもたらされるのではないかとおもっています。


 わたしたちが生きているこの世界は、もしかしたら映画『ドント・ルック・アップ:上を見ちゃダメ』よりもさらに明るく楽しく悲しく「ヤバい」状況におちいっているのでは、という印象をうけます。



【註】

このエッセイのためのサムネイルは、猫とアヒルを抱いているトランプ候補の絵ですが、画像生成AIによって作られたものです。

 いつもは自分で作るのですけれど、今回のAI生成画像はパブリックドメインに属している著作権フリーの作品を使わせてもらいました。



無断引用および無断転載はお断りいたします

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