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  • 執筆者の写真香月葉子

新型コロナウイルス騒動の影響 | パンデミックとモラル・パニック

更新日:1 日前


 ほかのエッセイにも書いたおぼえがあるのですが、1980年代、カリフォルニアで暮らしていたとき、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して免疫力が低下したためにエイズを発症するひとたちが後をたたなくなりました。


 わずか3ヶ月のあいだに、心理学や社会学や生物学の授業を受けていたゲイの青年たちが、つぎからつぎへと姿を見せなくなって、クラスルームのなかの席が歯抜けになっていくといった、そういう状況でした。


 サンフランシスコの歓楽街のひとつに、世界的にもよく知られていて、レズビアンやゲイの方たちのためだけに特化したカストロ・ストリート(新宿2丁目を拡張させたような場所です)という通りがあります。


 その界隈(かいわい)で、当時、ホモセクシュアルの男性の3人にひとりが亡くなるだろう、という情報が流れていたのをおぼえています。



モラル・パニックってどんなものなの?

 ちょうどそのころ、NIAID(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所)のディレクターだったアンソニー・ファウチという医師が、スポークスマンとしてマスメディアの「顔」となりました。

アンソニー・ファウチ医師の肖像写真
アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ医師

 このアンソニー・ファウチという方はひんぱんにテレビに顔を出していたのですが、あるとき、家族同士で唇に軽いキスをしただけでもHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染してAIDSを発症するおそれがある、と発言したものですから、全米がパニックにおちいり、幼稚園や小学校では、汚染された輸血のせいでAIDSを発症した子供が、登校を拒まれたり、ほかの子供の親たちから暴力をふるわれたり、また、その子供の家に石が投げこまれたり、扉に赤いペンキで『AIDS』(エイズ)となぐり書きされたりするような事件があとをたたなくなったことは、いまだにはっきりとおぼえています。


 アメリカ南部に住む黒人のひとびとが、白い三角頭巾と白い服に全身をつつんだ北方白色人種至上主義をかかげる秘密結社のKKK(ク・クラックス・クラン)の会員たちから家を焼かれるドキュメンタリーの場面をおもいだして、とても苦しい不愉快な気持ちを味わいました。


 これがモラル・パニックのひとつの例です。


 このファウチ医師は、しばらくたってから、あれは科学的にはまちがいだった、と訂正したのですけれど、そのまちがいによってアメリカ中をパニックにおとしいれた罪と、AIDSはゲイの男性特有の疾患だと述べたことで、男性同性愛者への、差別意識をひろめることにもなった罪を問われ、さまざまな団体から批判を受けて裁判沙汰にも発展したようです。

 にもかかわらず、メディアに登場する頻度はますます増していったのも記憶に残っています。


 ところで、コロナ騒動がはじまった2020年ころには、米国の大都市などで、おもにアジア系の方たちが、マスクをしているために感染者あつかいされ、通りすがりにいきなり殴られたり、地下鉄のホームから突き落とされたりした事件があとをたちませんでした。


 それが、コロナ騒動の後期になって、マスク着用が義務づけられるようになると、こんどは逆に、マスクをしていなかった乗客が、旅客機のなかや飛行場などで、ほかの乗客からツバを吐きかけられたり、暴力をふるわれたりする事件がひんぱんに起こるようになりました。


 これもモラル・パニックの結果です。


 ひとびとを継続的な不安と恐怖におとしいれると、理性的判断ができなくなり、主体性をうしないます。そうなると、他者の意見にまどわされることなく、みずからの意志と判断と責任において考えたり行動することができなくなってしまいます。


 つまり、〈わたし〉が〈わたし〉でなくなるのです。


 こうなると、なにをどう考えたらよいのかわからなくなり、なにをどのように感じたらいいのかすらあいまいになり、どのように行動したらよいのかまるで見当がつかなくなります。


 そして、いつのまにか、権威があるとみなされたひとびとの意見だけに耳をかたむけ従うようになるのです。


 まるで溺れかけた人が助けにきた人にすがりつこうとするかのように。


 わたしたちの、このような心の動き方はすでに臨床心理学の実験で確かめられているだけではなく、脳内で感情をつかさどっているとみられている扁桃体(amygdala : アミグダラ)や、心的外傷後ストレス障害に深いかかわりがあり、また、うつ病だけではなく、わたしたちの短期の記憶の保存にも深いかかわりがあると考えられている海馬(hyppocampus : ヒポキャンパス)にも影響をあたえるということが確かめられています。


 今日では、政府の方針や大手メディアの意見に従わせるために、国民を不安と恐怖にかりたて、狭い部屋のなかに閉じこめられたような気分におちいらせておいて、この、日々、終わることのない不安から自由になるためにはこうするしかありませんよ、と、たったひとつの出口にだけに向かわせるという戦術(tactics)が使われることがありますけれど、もとはといえば、テロリストたちが使うもっとも基本的な戦術のひとつなのだそうです。


①恐怖は混乱を産む。(Fear create Chaos.)

②混乱は暴力を産む。(Chaos create Violence.)

③暴力は変革を産む。(Violence create Change.)


 その変革の軸をにぎろうとするのがテロリストたちなのです、とカリフォルニア大学バークレー校で聴講生をしていたころ、政治学(ポリサイ : ポリティカル・サイエンス)の授業で学んだことがあります。


 ただ、いまでは、それがテロリストたちの戦術ではなく、政府が国民をコントロールするための戦略になっている、と述べる方がいます。


「ツインタワーが崩壊した9/11事件後に作られた法律や、新型コロナウイルスの感染がひろがるなかでのワクチンの強制的接種、また、その副反応を警告する学者や医師などに対する検閲と黙殺、大学の教職からの排除、そして医師免許の剥奪などによる〈赤狩り〉にも似た国の方針と、その背景を調べれば調べるほど、いまでは、アメリカの政府そのものが、いや、その政治家たちをあやつっている巨大製薬会社そのものが、このテロリズムの方法論を身につけ、大手メディアを動かしながら、じっさいにその方法をもちいて、わたしたちアメリカの国民を巧みにコントロールしているとしかおもえない」とピューリッツァー賞を受賞した元ニューヨークタイムズのジャーナリストだったクリス・ヘッジズ氏(Chris Hedges)が述べています。


「つまり〈暴力〉の部分を〈権威〉に置きかえさえすれば、現在の国の姿が見えてくるはずなのです」と。


①恐怖は混乱を産む。(Fear create Chaos.)

②混乱は権威を産む。(Chaos create Authority.)

③権威は統制を産む。(Authority create Order.)



ファウチ医師はコロナ禍でも大活躍?

 そういえば、このアンソニー・ファウチという方は、HIVの世界的流行から40年がたって、今回のコロナウイルス感染症の世界的流行がはじまったときに、バイデン大統領の「首席医療顧問」に任命され、コロナウイルス感染症の専門家として、ふたたびメディアの「顔」として大活躍なさっていました。


 ただ、2022年に入ってからは、合衆国上院議員で医学博士でもあるランド・ポール氏による公聴会に呼びだされて、ファウチ氏の監督下にあるアメリカ国立衛生研究所(NIH)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)による中国の武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)への金銭的関与が問われはじめました。


 また、その金銭関与問題にくわえて、武漢研究所でおこなわれていたとされる機能獲得(gain of function)と呼ばれる研究についての審問もはじまりました。


 その公聴会(公の場での審問会)でのおふたりの激しいやりとりが、なんとYouTubeなどのソーシャルメディアで『Rand Paul vs Anthony Fauci』コンピレーションになるなど、話題には事欠かない方のようです。


新型コロナウイルスの絵
新型コロナウイルス(corvid-19 : コーヴィッド・ナインティーン)

 この機能獲得研究(gain of function : ゲイン・オブ・ファンクション)というのは、自然界に存在していたウイルスの遺伝子を操作することによって変化させ、そのウイルスの毒性を強めたり、新たな特性をつけくわえたりして、それまでにない新しいウイルスを作成するという研究のようです。

 

 その研究の目的は、それまで自然界(ウイルスを媒介する動物やヒトなどをふくめて)には存在しなかったような毒性の強いウイルスを新たに作りだして研究すれば、もしもそれに似たウイルスがじっさいに登場してヒトに感染し蔓延したときにも、すぐにワクチンを作って対処できる、ということらしいのですが、もしもそんなウイルスが研究所の職員さんに感染して外へ逃げ出したりしたらたいへんなことになるのでは? なんて、ことばにならない不安を感じてしまいます。


 なぜならこの研究は生物兵器(biological weapon : バイオロジカル・ウェポン)を作るために悪用されるかもしれない危険性をふくんだ研究だと考えられているからです。


 不思議なのは、コロナ禍(騒動)のあいだ、ファウチ医師とともに、たびたびメディアの「顔」としてメジャーのネットワーク番組に登場し、コロナウイルスの危険性やワクチン接種の必要性などについて解説していた億万長者のビル・ゲイツ氏(医師の免許は持っておられません)は、ウイルスと疫病を専門にしておられる学者さんたちにお呼びがかからないのとは逆に、コロナ感染症(corvid-19)についてのもっとも有名なお茶の間解説者としてひんぱんにメジャーメディアに登場なさっていたことです。


ビル・ゲイツの写真
アメリカ合衆国の実業家で億万長者ビル・ゲイツ氏

 ところで、このビル・ゲイツという方は、コロナ禍による騒動がはじまる直前に製薬会社ファイザーの株を購入し、この2年間に、わずか10億ドルの資金で200億ドルを得たということをテレビのインタビューで自慢げに話しておられましたので、いまでは「公然の秘密」になってしまいました。


 1ドルを170円として計算してみますと、1兆7000億円の投資で34兆円をもうけたことになりますから、今年になって、ビル&メリンダ財団が、こんどは世界保健機関WHOの運営資金の88%にあたる額を出資することになったというニュースにもうなずけます。


 このニュースが流れたとき、海外の「有識者」と呼ばれる方々が「これは世界保健機関が個人の所有物になったのも同じで、ゆゆしき問題だ」と討論なさっていたのは、記憶に新しいところではないでしょうか。


 ちょっとした付録ですけれど、同じくメディアの「顔」として活躍しておられたファイザー製薬会社のCEOアルバート・ブーラ氏は、自社のワクチンをブースターをもふくめて接種していたのにもかかわらず、去年(2022年)新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことでも知られました。

 このアルバート・ブーラという方のご専門は獣医学だそうです。


アルバート・ブーラの写真
ファイザー製薬会社のCEOアルバート・ブーラ氏






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