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【バークレー】テキーラの女には手を出すな

  • 執筆者の写真: 香月葉子
    香月葉子
  • 9月28日
  • 読了時間: 15分

更新日:10月3日



 テキーラのボトル2本を女3人で空けたことがある。

 夏の終わりだった。



 ワインカントリーで知られるカリフォルニア州のナパで暮らしていたころ、そののどかな盆地でメキシコ系アメリカ人のクリスティーナと知り合った。

 わたしはそのあとサンフランシスコの対岸に位置する学園都市バークレーへ越すことになった。

 それから3年近くの時間が流れ、ナパでの日々を忘れかけていたころ、ふいにクリスティーナが訪ねてきたのだ。

「久しぶり」

「じつはヨーコを連れていきたいところがあるの。出かける用意してくれる?」

 挨拶もそこそこで彼女はわたしの手首をとった。

「メキシコのテキーラで生まれた女性に会わせてあげる」

 そのまま彼女はアパートの向かいにとめてあったクルマの助手席にわたしを引っぱっていった。

「あいかわらずこのクルマの窓は閉まらないのね」

「修理するお金がないからしかたがないでしょ。でもこのポンコツはわたしそのものだから手放せないの。雨が降らなければ問題ないし。ここはカリフォルニアだから」

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 酒を飲むたびに暴力をふるう夫のもとから彼女はこのフォードのピントに飛び乗って逃げてきたのだ。

 その話をナパで暮らしていたころに聞かされたことがある。

 ナパの前はメキシコの国境に近い大都市サンディエゴで暮らしていたらしい。



「ヨーコに会わせたいのはわたしのいとこなんだけど、じつは彼女の旦那さんがバークレーの大学院の博士課程に受かってさ」

「すごいわね」

「で、ふたりでテキサスから引っ越してきたのよね」

 クルマから降ろされたところは、わたしのアパートから近かった。

 歩いても30分くらいの距離だ。

 白い3階建てのなかにあるワンベッドルームのアパートだった。

 出迎えてくれた女性はセレナと名乗った。

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 小柄なクリスティーナとはちがってたくましい体つきをした大柄な女性だ。

 見上げたときの目の位置が緒斗と変わらないので、おそらく180センチはあるだろう。



「旦那さんは?」とクリスティーナ。

「女だけの時間にしたかったから出かけてもらった。心配しなくてもいいのよ。どうせ大学の図書館にへばりついてるはずだから」

 セレナは満面に笑みを浮かべながら答えた。

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「まずは、テキーラで乾杯よ」

 用意してあったロックグラスにセレナは透明な液体を注いだ。

 それでもショットグラスの何倍もの量だ。

 以前ナパに住んでいたころ、メキシコからやってきた隣人たちに「死者の日」パーティーに招かれたことがあったのだが、そのとき出された琥珀色のテキーラとは異なっていて完全な無色透明だった。

 わたしがそのことを指摘すると「こっちの透明な方は熟成時間が短いのよ。そのぶんアガヴェの香りをストレートに味わえるからわたしはこの透明な方が好き」とセレナはいっきに飲み干した。

 アガヴェはテキーラの原材料でリュウゼツランの一種なのだとクリスティーナが教えてくれたことがある。

「セレナの両親はテキーラで生まれて育ったのよ。アガヴェ畑がどこまでも広がってる土地。見わたすかぎりアガヴェ畑よ」

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「世界のどこに行ってもその故郷の名前を教えるだけでみんなびっくりするとおもう」

 そんなわたしを見つめてセレナが言ったのだ。

「ところが結婚間近のふたりに問題がおきてその村から夜逃げしなくちゃいけなくなったの。ほんとうに命からがら逃亡したんだって。わたしは長女でふたりの最初の子供なんだけど、そういういきさつもあってテキサス生まれなのよ。でも、もし、わたしの両親がメキシコから逃げださずにメキシコのテキーラであのままずっと暮らしてたら、わたしはいまごろアガヴェ畑で働いてて、もちろん英語なんて話せなかったと思う」

 クリスティーナが「セレナ、わたし、お腹がペコペコ」と食事の催促をしたのが合図になって、わたしたちは食卓についた。



 テーブルにはセレナの手作りの料理がならべられていた。

 クリスティーナがあらかじめわたしの好物を知らせていたのか、メキシカンライスがあった。

 卵の黄身にほんのすこしケチャップを混ぜたような赤みがある。

 見るからに辛そうで心がはずんだ。

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 セレナに感謝の気持ちを伝えると「じつはね、彼も、これ、大好きなのよ。食べることなんてどうでもいいような人なんだけど、メキシカンライスだけはいつもたくさん食べてくれるわ。とくにハラペーニョの辛さが効いたのが好きみたい」と満面に笑みを浮かべた。

 彼の話題をもちだすだけで幸せを感じることのできる女性なのだろう。

 たしかにハラペーニョの入ったメキシカンライスはかなりスパイシーで、独り占めにしたくなるほど美味しく、テキーラのグラスに口をつける頻度が増した。



「セレナの旦那さんはね、とても優秀なのよ。コンピュータサイエンスが専門なのよ」とクリスティーナ。

「わたしみたいな違法移民の娘が博士を志すような人と結婚するなんて、まず、ありえないことだとおもう。だってわたしの家族にはひとりとして学卒なんていないし」

「彼とは高校の同級生だったんでしょ? 結婚にいたるまでの流れを話してよ」

「また聞きたいの?」

「だってヨーコにとっては初めてだし」

 セレナはためらいがちに眉をひそめたが、わたしが頼みこむと、グラスに注いだテキーラをふたたびいっきに飲みほした。



 彼はユダヤ系アメリカ人なの。

 まわりからはオタク(geek)のレッテルを貼られてた。

 小柄で、しかも体が弱くて…。だから学校のクラスのなかではみんなのイジメの対象だった。

 なにをされても抵抗しないぬいぐるみみたいなものだった。

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 で、ある日、彼がいつものように白人のクラスメートにからかわれていたの。わたしのすぐ後ろの席でね。

 わたしはもう我慢できなくなった。

 いいかげんにして、って感じ。

 もしかしたら、それまでなにも見ていないふりをしてきたわたし自身に我慢ができなくなってたのかもしれない。

 黙りこくった傍観者でいるってのもイジメてるのと変わらないみたいな気がしてたしさ。

 で、わたし、リーダー格の男の子にふりかえって、気がついたときにはもう殴り倒していたの。

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 こういう男みたいなからだつきをしてるから、女として見られることなんてなかったけど、まさか、このわたしが手を出すとは思ってもいなかったみたい。

 床に倒れたままポカーンとこちらを見上げてたのをおぼえてる。

 まるで眠りから覚めたばかりみたいな表情でぼんやりとこちらを見上げてたわ。

 なにしろこっちは違法移民の娘だし、おまけにひとを素手で殴るやりかたをちゃんと知ってたってことだし、ほんとにびっくりしたんだろうね。



 わたしの父親は屠殺場で働いてたんだけど、週に一度は仲間を引きつれてくるのが習慣だった。酒を飲むための口実だったのよ。

 彼らは陽気で楽しい大人たちだったわ。

 ほんのすこしでもお金がはいったときはとても気前がよくなるし、奥さんと喧嘩をした日はたいてい沈んだりイラだったりしてたし。

 みんなすごくわかりやすい人たちだった。子供のわたしですら彼らの心の動きを読むのはかんたんだった。

 ようするにウソのない人たちだったんだとおもう。

 わたしのこと、すごくかわいがってくれたしね。

 そんな彼らに幼いころからいろんなことを教わったの。

 みんなわたしを男の子あつかいして、こぶしの握り方とか、指を折らないように人にパンチを喰らわせるやりかたとか、頭突きの方法とか、首の絞め方とか、ナイフやナタ(マチェーテ)の使い方とか、ほんとにいろんなことを教えてくれた。

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 とにかく、あの日、学校で、わたしのパンチ一発でリーダー格のイジメっ子はみごとにひっくり返ったわけ。

 とはいっても、そいつは、わたしよりひとまわり小さめだったけどね。

 目は綺麗なブルーで、頭は混じり気のない金髪だった。

 ほんとのほんとにイヤなヤツだったよ。わたし自身、いつか、チャンスがあったら打ちのめしてやりたいと思ってたくらい。ちょっかいを出されなかったからそのチャンスがめぐってこなかっただけでさ。

 あ~あ、わたし、男に生まれたかったな。

 このオッパイがいちばんの邪魔なんだよね。



 そう言ってセレナが両手で乳房をゆすぶったので、クリスティーナとわたしはおもわず笑った。

「わたしにもあなたくらいの体格と筋力があったら、すぐに腕をふりあげるあの夫からも殴られることがなかったのに」

 そうつぶやいてクリスティーナは下唇を噛みしめた。

「で、その男の子を殴り倒したあと何が起こったの?」とわたし。



 で、その夜、そのことで学校の用務員さんが家にたずねてきたの。

 両親はびっくりしてたわ。

 その用務員さん、だれだったとおもう? なんと、いつもイジメられてたあの小柄でオタクのユダヤ系アメリカ人の生徒のお父さんだったの。

 その人が『息子を助けてくれてありがとう』ってお礼に来てくれたんだよ。

 わたしの両親はそのことを聞かされて唖然としてた。

 で、あの小柄な生徒のお父さんが帰ったあと、ふたりでわたしをにらみつけて『二度と人を殴っちゃいけないぞ』って釘を刺されたわ。

 きっとわたしの実の父親を思い出して心配になったんだと思う。

 なにしろそいつは処女だったわたしの母親を畑にひっぱりこんでレイプした男だもの。

 そんな男の血がこのわたしの体にも流れてるってことが心配になったのにちがいないわ。



 わたしは、テキーラがまわっていたせいか、そのあたりの事情がよくのみこめなかった。

 彼女が『レイプ』という言葉をつかった真意を知りたくて『ほかの男性の許嫁をレイプしたの?』とつぶやくようにたずねていた。



 そうよ。わたしのいまのお父さんの許嫁だった女性をレイプしたのが、このわたしと血のつながりのある実の父親だったの。

 ほんとうに文字通りレイプだったらしいわ。

 満月の夜のアガヴェ畑で彼女は犯されたの。

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 でもいまのお父さんが彼女にぞっこんだったこともほんとうよ。

 なにしろ、ほかの男にレイプされたのにもかかわらず、その許嫁を愛するあまり、彼女を連れて、村から夜逃げしたんだもの。

 その当時のメキシコの田舎では考えられないようなことだったらしいわ。

 レイプされた女はもう汚された女になったのも同じだから嫁にする価値はない、なんておじいちゃんやおばあちゃんからは言われたらしいから。

 ようするに結婚が破談になってしまったの。

 その汚された女性がわたしのお母さんよ。

 ときどきふたりのことを考える夜があるわ。

 自分の生まれ育った村を捨てることがどんなにつらいとんでもないことかわかる?

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 親や親戚や友だちや知り合いとのつながりをすべて断ち切ってしまうだけじゃない、自分がだれなのかを証明するものすら失ってしまったわけだから『根無草』(ねなしぐさ)として生きていくしかなくなるわ。

 もう自分だけが頼りよね。

 とにかく、ふたりはそのままメキシコを北上していって『違法移民』としてテキサスにたどり着いたの。

 そこでわたしが生まれたわけ。

 まさかあの一度きりのレイプで妊娠したとは思わなかっただろうけど、わたしが成長するにつれて、自分の妹や弟とくらべてあまりにも体格がちがうから、お父さんは、もしかしたらわたしはあの満月の夜のアガヴェ畑の子供かもしれないって心のどこかで信じはじめていたかもしれない。

 わたしは弟や妹ともまるで体型がちがってたし。

 わたしもそのことをずっと不思議に思ってたんだけど、まさか父親が違うだなんて想像もしてなかったわ。

 子供のころは『わたし、お父ちゃんとお母ちゃんのエネルギーを全部ひとりじめにして生まれてきちゃったのね』だなんて、よく冗談まじりに言ってたのをおぼえてる。

 あれはたしかわたしが14歳の時だった、お父ちゃんの妹にあたる叔母ちゃんが訪ねてきたの。

 夜、大人たちがヒソヒソ話をしてて、そのとき、わたしの実の父親がだれだったのかわかったの。

 みんなでわたしのことを話してたわ。

『あの子の体つきがますますあの男に似てきたね』ってさ。

 お母ちゃんの押し殺したすすり泣きが聞こえてくるし、お父ちゃんの『あの娘は神から与えられた試練なんだよ』とかって言葉も聞こえてくるし、わたしの胸はつぶれそうになって朝まで眠れなかった。

 その日、叔母ちゃんを問いつめたら、なにもかもすべて教えてくれたわ



 それを受けてクリスティーナが吐きだすように言った。

「その叔母って、もしかしたらわたしの母親のことだよね。クソッタレ女だよ」



 いいんだよ、それで。彼女のおかげでなにもかもがはっきりしたんだから。

 お母ちゃんが村一番の巨漢にレイプされたことも教えてくれた。

 ずっと不思議に思ってたことがとつぜんはっきりしたわけ。

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 それより、育ての親っていうか、いまのわたしの両親は、実の子供と分け隔てするどころか、わたしのことをすごく愛してくれたし、そのこと、ほんとうに感謝してるわ。

 なんて言ったって、わたしのお父ちゃんは、村でいちばんの大男にレイプされた許嫁を放り出すどころか、彼女といっしょに夜逃げした男だからね。

 わたしのことを本当の娘みたいに育ててくれた人よ。

 敬虔(けいけん)なクリスチャンの鑑(かがみ)みたいな人間だとおもう。



 テキーラで酔っていたからこそ聞けた話なのかもしれない。



 おもしろいことに、血でつながったわたしの父親は、ただただ巨漢ってだけじゃなくて、喧嘩も村でいちばん強かったらしいわ。

 その遺伝子のおかげで、あの金髪で青い目のいじめっ子を一発で殴り倒せたし、あの小柄な生徒と彼の父親に感謝されたんだとおもう。

 白人が牛耳ってるテキサスで、ユダヤ系アメリカ人の生徒だなんて、わたしたちメキシコ移民にくらべたらマシかもしれないけど、たいして変わらないような気もしてたし。

 しかも小柄でオタクだものね。

 いじめられないほうがおかしいくらいだわ。

 それにくわえて、2年も飛び級するくらい頭がいい生徒だから、大人のなかに天才少年がまじってるようなものよ。

 彼のお父さんの気持ちもわかるわ。

 息子がいじめられてるのが、とても歯痒い気持ちだったのにちがいない。

 テキサスを牛耳ってるひとびとぜんぶを敵にまわしたように感じていたかもしれない。

 わたしの両親がそうだったもの。

 あのイジメっ子を殴ったってだけで、あのオタクの少年、わたしのことを『女神』だなんて言ってさ。

 そんなふうに自分のことを言ってくれる人がいるなんて思ってもみなかったから頭がぶっ飛んじゃった。

 正直、恥ずかしかった。

 それに学校の図書館で調べたらユダヤ教には女神なんていないみたいだし、よくわからなかった。

 そもそもテキサスに移り住むようなユダヤ系アメリカ人なんてわたしの近所にはいなかったし。

 ときどきテレビなんかで目にする、長い髭をはやして黒い帽子に黒いコートを着ているニューヨークのユダヤ人とかとはちがうのかも、なんてぼんやりおもってた。

 オースティンにあるテキサス州立大学に入ってからも、わたしのところにやってきては『結婚してください』って何度も懇願するんだもの。

 デートもしたことないのに。

 弟や妹は『姉ちゃん、結婚してあげなよ。あんなにしたがってるんだし。そういう相手にはもう2度と会えないかもしれないよ』ってたきつけるんだけど、結婚なんて考えたことも夢に見たこともなかったから答えようがなかったわ。

 このわたしの体つき見てよ。わかるでしょ?

 わたしからしたら自分の弟と結婚するようなものだもの。

 でもさ、『生涯、ぼくのそばにいて、ぼくを守ってください』て言われたら、やっぱり、『守ってやるしかないな』って思っちゃうのよね、わたし。

 で、けっきょく結婚することになったの。

 それに彼はお父さんとふたり暮らしだったしね。

 ついでだから男ふたりを守ってあげることにしたわけ。

 彼が10歳の時にお母さんは家出したんだって。



「セレナがふたりのお母さんになったってわけね。しかも頼りがいのある強いおかあさん」



 からかわないで、ヨーコ。

 いちばん心に刺さったのは、彼、ユダヤ系アメリカ人なのに、わざわざカソリックに改宗してくれたことかな。

 それがどれだけ大変なことかわたしのお父さんからもさんざん言い聞かされたわ。

 いちばんありがたかったのは、彼がコンピュータサイエンスのこと、手取り足取り教えてくれるものだから、こっちもだんだん興味が湧いてきてね。

 いつのまにかカレッジに行きたくなってきたの。

 わたしの家族はもちろんだけど、お父さんに言わせると親戚のだれひとりとしてカレッジを卒業したひとはいないし、また、両親が生まれ育った故郷の村にもひとりとしていなかったらしいの。

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 彼みたいに頭の良い男と結婚したわけだから、わたしもしっかり勉強して賢くならないといけない。

 そう決めたの。

 でないと彼とのギャップが開きすぎて会話が成りたたなくなりそうだったし。

 わたしの両親がいつも言ってたわ。

『共通の話題がない夫婦は墓石みたいに向き合って食事をすることになるんだよ』

 それ以上に今まで考えてもみなかった将来が目の前にひらけてきた感じがしてたしね。

 そのぶん、がんばらなくちゃいけないけど。



 そこでクリスティーナは深くうなずいて言った。

「わかるわ。仕事と勉強の両立が大変で、わたしはいまだにナパカレッジを卒業できないでいるから。だって、わたしにはセレナの旦那さんみたいに頭が良くてやさしくて理解のある男がいないからね」

「最高の言いわけね、クリスティーナ」とセレナは苦笑した。

 


 それから3年後、わたしはバークレーからシカゴに移っていた。

 初夏だったとおもうが、クリスティーナからシカゴへ手紙と小包みが届いた。

 セレナはオークランドにあるコミュニティカレッジを卒業したらしい。

 この秋からはサンフランシスコ湾岸都市のひとつヘイワード市にある州立大学に編入するのだそうだ。

『彼女はコンピューターサイエンスを専攻するんだって。そこでパスカルとかっていうプログラミング言語を学ぶらしいわ。これから先の世界にもっとも必要な知識だそうよ。ほんとに羨ましい限りだわ。あの体格と腕力に学歴がそろったら、セレナはもう怖いものなしの人生を送れるんじゃないかと思う。心からそう願ってる。なにしろ満月の夜のアガヴェ畑からはじまった人生だもの。ところでわたしはまだナパで奮闘中。でも幸せよ』と書かれてあった。

 小包みのなかにはテキーラの瓶が1本。

 もちろん無色透明なテキーラ産のものだ。

『満月の夜に飲むこと』という手書きのメモがそえてあった。

 




   1984年 秋 / バークレー




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