イスラエルとアメリカの腐れ縁 | 世界中から嫌われるようになったふたつの国
- 香月葉子

- 20 時間前
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【停戦協定ってどんな効力があるの?】
ご存知のように、2025年の10月、イスラエルとパレスチナのあいだで停戦協定が結ばれました。
でも、『イスラエルが停戦合意だなんて冗談でしょ』という記事のなかで危惧していたとおり、イスラエルがそんな約束事を守るはずはありませんでした。
停戦協定の効力発生日であるはずの10月10日以降、すでに376名におよぶパレスチナ人を殺害しています。
しかも全員が民間人でした。ハマスの戦闘員ではありません。
12月6日には、ガザ市において、70歳の女性をふくむ7人のパレスチナ市民が、イスラエル国防軍のドローンに追跡・攻撃され、亡くなりました。
そのドローンの追跡・攻撃を可能にしているのが PayPal と OpenAI に投資して創業者のひとりとなり、共同経営者ともなった億万長者のピーター・ティールという方です。
現在、彼が会長をつとめているパランティア・テクノロジーがつくった監視用ソフトウェアは、特定された個人や団体を自動的に追跡・攻撃できるようになりました。
各国の空港などでもつかわれているAIによる顔認識の機能をそなえたソフトウェアもパランティア・テクノロジーによるものです。
また、イスラエル国防軍によると、ヨルダン川西岸地区で「テロリスト」とおもわれる2名のパレスチナ人を殺害したということです。
停止をうながした自動車がいきなり速度をあげたから、というのがその殺害理由でした。
カタールとエジプトの両政府は、このようなイスラエルの「停戦破り」を非難しつづけています。
「パレスチナ人たちをおびえさせることで国外脱出をうながし、難民になった彼らをわれわれに押しつけようとしている。これはすべてそのための策略ではないのか?」
このような疑念を投げかけながらネタニヤフ政権を問いつめています。
【イスラエル政府のお仕事は平和をかき乱すことなの?】
イスラエルは米国の中東政治にはかかせないお道具です。
アメリカの経済覇権の鍵をにぎっているオイルダラーの牙城をくずされないための秘密兵器みたいな国だとも言えます。
まず反米国的な経済政策をとっている近隣のアラブ諸国へちょっかいを出させて紛争をつくりだします。
つぎにその紛争をエスカレートさせ、その仮想敵国からイスラエルが攻撃されそうになったとたん、中東各地に配備しているアメリカ軍に腰をあげさせ「中東の平和と安全をおびやかす可能性があるから」という理由でその仮想敵国をたたきつぶすのです。
アメリカの意向に逆らったらどうなるかを見せつけるための『警告と教訓』(cautionary tale)にもなります。
また、最新兵器の威力と欠陥を見きわめるためのテスト場にもなります。
同時に、諸外国への兵器のお披露目会にもなりますので、武器商売にもつうじていますし、一挙両得といったところなのかもしれません。
その役割を担ってきたのがイスラエルであり、アラブ諸国を統御するために米国が利用してきた『噛ませ犬』と呼ばれてきたのはそのためでした。
ちなみに中東にはおよそ19の米軍基地があり、そのなかの8カ所は恒久基地で、それらすべてはアメリカ中央軍(CENTCOM)の司令下にあります。
【どちらが主人でどちらが下僕なの?】
また、イスラエルは米国から大量の兵器を購入してくれるお得意さまでもあります。
とはいっても、ただただ米国の言いなりになってきたわけではありません。
巨額の政治献金や寄付金を使って米国の議員たちのふところに入りこんでいきましたし、いまはホワイトハウスの奥の奥まで入りこんでいます。
たとえば J・D・ヴァンス氏やマルコ・ルビオといった方たちはイスラエルの意向をつたえる『伝令』の役割を担っている人物だとみなされています。
また、米国だけではなく、世界の経済活動のほとんどを手中におさめてきたアシュケナージ系ユダヤ人(白人っぽい方たち)がかたちづくっている財閥、および機関投資家や銀行家や主要株主たちは、イスラエル・ロビーをテコにして政治家たちを「ワイロ依存症」にし、自分たちに都合の良い法律をつくらせ、同時に主要メディアを買い占めて所有者となり、国民の世論をコントロールしてきました。
それが歴史的事実です。
1990年代のクリントン政権からはじまって、オバマ政権、バイデン政権、そしてトランプ政権とつづく米国の中東戦略に目をむけてみますと、イスラエルの望みをかなえるためにはいかなる経済的・軍事的な助力も惜しまない、といった政策になるのは「アメリカの安全保障のため」ではなくて議員や将軍たちの「個人の利益と地位の保全」のためだと言われています。
『戦争屋』ではなく『商売人』だとみなされてきたトランプ大統領ですら「アメリカ第一どころかイスラエル第一主義ではないか」と批判されたときには返すことばがないかもしれません。
パレスチナのひとびとにたいするイスラエルの残虐行為に加担しているわけですから。
ネタニヤフ首相の手と同じように、トランプ大統領の両手も、すでにパレスチナの子供・女性たちの血にまみれているのです。
そして米国は、このような政策をつづけてきたせいで、安全になるどころか、中東のさまざまな反イスラエル民族組織からは目の敵にされ、インドネシアなど東南アジア諸国のイスラム教徒からの信用も失い、いつテロ攻撃を受けてもおかしくない国になってしまいました。
また、イスラエルとともに、先進7カ国(G7)以外の国々の信用を失い、アメリカは国際法を無視してばかりいる倫理・道徳観念のない国になったというレッテルを貼られ、いままで以上にBRICS加盟国を増やすきっかけにもなっているのです。
そして、そうなった原因は、人種のるつぼアメリカとユダヤ人だけによるアパルトヘイト(パルタイ)国家イスラエルという一見大きく異なるふたつの国家体制を運営している支配層が、じっさいには『資源』と『利益』と『覇権』の奪取という3点で通底していたからだとおもいます。
つまり、古今東西変わらない政治における真理のひとつ「見た目はちがっても目的がおなじであれば万事OK」で世界を支配しようとしたことで、現在、めまいを伴うほどの速さで墓穴を掘っていることは疑いようがありません。
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