イラン・イスラエル戦争の原因と背景 | ラスボス戦へのプレリュードと不可視の洗脳
- 香月葉子
- 7月20日
- 読了時間: 48分
更新日:10 時間前
犯罪を暴くことが犯罪としてあつかわれるとき、わたしたちは犯罪者たちに支配されているのです。
権力はこちらが要求しなければなにも譲らない。ずっとそうだったし、これから先もそれはずっと変わらない。
すべては予想通り?
2023年から戦争について考えたこと思ったことについていくつかのエッセイや記事を公開してきました。
資料と具体的な証拠(エビデンス)も添えてきました。
すでにそれらを読んでくださっていた方々にとって、現在のロシア・ウクライナ戦争やイラン・イスラエル戦争の状況についてはそれほど目新しいものはないはずです。
中東紛争やロシア・ウクライナ戦争が現在(2025年7月中旬)のような姿になるだろうことはすでに述べてきましたから。
ただ、戦争による犠牲者の数が増えつづけているという事実が変わらないだけで。
興味と時間のあるお方で、もしもこの記事が初体験なのでしたら、ぜひこちらのエッセイと記事をお読みください。
さらにくっきりした全体像がつかめるのではないかとおもいます。
①『戦争メモ4』(2024年2月5日)のなかの『ガザでは今日も空襲がつづいています』以降。
②『ロシア・ウクライナ戦争の背景と真実 | プロパガンダ戦争の時代』(2024年2月25日)
③『米国による一極支配 vs BRICSによる多極体制 | アメリカ帝国最後のあがき?』(2025年1月5日)
④補足として『トランプ大統領候補はなぜ暗殺の標的にされるの?』(2024年10月6日)
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イラン・イスラエル戦争続編への予告編など…
いまのところイランとイスラエルは停戦状態ですけれど、今年2025年の9月から10月あたりにかけて本格的な全面戦争がはじまるのではないかという意見があります。
それとは反対に、イスラエルと米国はともに今回の『12日間戦争』でイランの軍事力におどろかされ、いままで経験したことのないイスラエル本土への攻撃にパニックにおちいり、ドローンとミサイルの飛ばし合いをつづける消耗戦にもちこまれたら勝ち目がないことに気づいたはずなので、このあとイランにふたたびちょっかいを出すのはやめたほうがいい、と考えているにちがいない、という見方もあります。
イランの飛ばした500発にもおよぶ弾道ミサイルはイスラエルの31ヶ所の戦略拠点を破壊しました。
そのせいでイスラエルの一般市民のうち28人が亡くなり3,000人が負傷したのです。
そんなふうに本土を攻撃されたことはいまだかつてなかったのですから、ネタニヤフ政権が「ちょ、ちょっと待って」と二の足を踏むようになったのはとうぜんかもしれません。
いくら米国と英国が背後についているからといっても、さすがにイランを甘く見すぎていたのかもしれませんね。

大国イランは文明のゆりかごでもあります。
国民ひとりびとりのプライドがちがうというのはイランの歴史を研究しておられる学者さんや戦略地政学の専門家の方々が、以前から口をすっぱくして言いつづけてきたことでもあります。
たかだか300年の歴史にも満たない新興国家アメリカや、欧州から逃げてきたアシュケナージ系ユダヤ人の建設した中東のなかの「よそ者」国家など、じつは心の底では認めていないし軽蔑している、ともいわれています。
なにしろイスラエルという国は、かつて南アフリカ共和国がそうだったのとおなじようにアパルトヘイト(人種隔離差別政策)をしている国家です。
それは西側の国際政治学者の方々も認めています。
そのイスラエルの政策がむきだしになり、世界中のひとびとの目にふれるようになったのは、おそらく2023年10月7日以降のことで、現在までのほぼ1年と6ヶ月のあいだにガザ市の9割を破壊し、パレスチナ人を大量虐殺しながら民族浄化をつづけています。
イスラエル・メディアによる調査では、イスラエルの国民の80%に近いひとびとがパレスチナ人は「人間以下」で「動物と同じ」だと考えているという結果が出ました。
じっさい、イスラエルのソーシャル・メディアでも、パレスチナ人は赤ん坊をふくめて全員皆殺しにしたほうがいいし、ひとり残らず殺せないのだったら他の国へ追い払うべきだ、といった意見が主流になっているようです。
また、ガザ市の病院や学校に爆弾をしかけて建物が崩れ落ちてゆくのを背景に、イスラエル国防軍(IDF)の若い兵士たちが嬉しそうにダンスしてはしゃいでいる動画がアップロードされ、数多くの「イイね」を獲得している現状を米国のメディアがとりあげてもいます。

それだけに、イラン側としては、国際法に違反するイスラエルの「狂犬」じみたテロ行為によって自国の要人を殺害されたりしても、なんとか戦争拡大をふせぐための外交をつづけようとする姿勢をくずさなかったし、国際原子力機関(IAEA)の査察もうけいれてきたのだ、とみられています。
つまりイラン政府は西側諸国にたいして慇懃無礼(いんぎんぶれい)にも受けとれるほどの紳士的マナーを見せつけてきたとも考えられるのです。
ところが、この姿勢が西側諸国には「弱さ」や「媚びへつらい」に見えていたらしく、米国やイスラエルの指導者たちは「イランなどたいしたことはない。しょせんは茶色い肌をした連中が銃をふりまわして打倒イスラエルを叫んでいる後進国にしかすぎない」とあなどってきたのだとおっしゃる国際地政学者さんたちがいらっしゃいます。
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イランをナメちゃいけません
ところがイランの科学力の高さと技術力はすでに米国を凌駕しているのでは、とも言われていて、ここではくわしく述べませんが、2005年と2009年に米国政府が開発したStuxnet(スタックスネット)と呼ばれるコンピュータ・ウォームによってイランの原子力発電所のメルトダウンを起こさせたことはご存知の方もおられるとおもいますが、そのおなじマルウェアをつかってイランのハッカーたちがニューヨーク市近郊の原子力発電所にたいして攻撃をしかけ、かなりシリアスな損害をあたえたというニュースが2013年当時には話題になっていました。
つまり、報復措置として、それから3、4年後には米国にされたのとおなじことをサイバースペースにおいておこなうことのできる技術力と人材をもっているということが判明したのです。
とくに優秀な科学者たちの数の多さにおいては世界的にもよく知られていますし。
いくらイランの若者たちがアヤトラ・ハメニイ師や現行政府にたいして不満をいだいていたとしても、自分たちの首都テヘランへいきなり空爆をしかけられたり、イスラエルの諜報特務庁モサドの秘密工作員などによって自国の政府や軍部の要人を暗殺されたりしたら、ころりと『愛国心』全開になるのはとうぜんでしょう。
ふだんはハリウッド映画やXやインスタグラムからの影響をうけてアメリカの男の子や女の子の楽しそうな生活への『あこがれ度』を上昇させられていたとしても、米国メディアが売りつけてくる『甘くつつみこまれたプロパガンダの夢』からさめてしまうことだってありえるでしょう。
イスラエルと米国は、たぶん、ロシアにたいして行ったこととおなじように、敵国とみなしている国民の心をひとつにまとめるのが、皮肉な意味で「お上手」なのかもしれませんね。
米国がちょっかいを出すと、たいていすべてがぐちゃぐちゃになる、というのは歴史的に見ても証明されはじめているのに。
国連の武器監査官だったスコット・リッター氏のことばに「When we touch it. it would die for sure」(われわれ米国がちょっかいを出すと、その国はかならず崩壊する)というのがあります。
そういう意味で、第二次世界大戦はまだしも、朝鮮戦争やベトナム戦争以降の米国の国際政治を見ていると、建設的なものがどこにもうかがえず、じっさいは、あまり優秀ではないタイプの『戦争職人』なのかもしれません。
シリア・レバノン・イエメン・ソマリアなどを空爆し街や都市を破壊して一般市民を殺しつづけるせいで、つぎからつぎへと難民を製造してきた国がアメリカです。
欧州諸国が難民であふれかえってしまうのはとうぜんでしょう。
しかも彼らのほとんどはキリスト教徒ですらありません。
イギリス・フランス・イタリア・ドイツや北欧諸国で長く暮らしていたひとびとからすると異教徒です。
問題が起こらないほうがふしぎでしょう。
欧州の国々の政府関係者も、いつまでもアメリカの言いなりにならずに「これ以上難民をつくるようなことをしないでもらえませんか? さまざまな小競り合いで国民のがまんが限界にきているので、われわれの立場もヤバくなってるんですけど」と苦情を述べたほうがいいのかもしれません。
とはいっても、夏の終わりか、もしくは日本の山々が秋の色に染まりはじめるころには、ふたたびイランとイスラエルによる全面戦争がはじめるかもしれません。
その可能性がいちばん高いようです。
わたしもそう思っています。
なにしろイスラエルは『停戦』破りの名人ですし。
それどころか『停戦』を匂わせておいて、その話し合いをするから、と告げたあとに、たとえば2024年の4月にはシリアのダマスカスにあるイランの領事館を爆撃し、そこに集まっていたイランの高官たちを皆殺しにするというような『だまし討ち』が得意ですし。

それだけではなく、2024年の7月末日には、レバノンに空爆をおこなって反イスラエルの武装組織ヒズボラの司令官を殺害したすぐあとに、おなじ手口で、しかもこんどはなんとイランの首都テヘランにおいてイスラエルにたいする抵抗組織ハマスの政治的指導者を暗殺したこともまだ記憶に新しいとおもいます。
前にも述べましたけれど、さすがにイスラエルの情報組織モサドはちがいますね、というほかはありません。
目的のためには手段を選ばす。
これです、これ。
そんなイスラエルの諜報機関モサドと戦っている武装民族組織ハマスやフーシやヒズボラ。
いったいどちらがテロ組織なのかわからないところが現代の戦争でもあるようです。
もちろん去年の4月、ご存知のように、イランの領事館にたいする攻撃を受け、イランとその手足でもある反米・反イスラエルの武装組織フーシは、報復措置として300機にもおよぶドローンでイスラエルを攻撃しました。
そのときは、イスラエルの防空システム『アイアンドーム』では防ぎきれないことがわかっていたため、米国と英国とヨルダンが迎撃ミサイルを飛ばしてイスラエルの援護にまわり、100機を撃ち落としたという記録があります。
そして去年2024年の10月、イランがふたたびイスラエルにたいする報復攻撃をおこなったときには200発近い弾道ミサイルがイスラエルの主要軍事拠点を襲いました。
けれどもイスラエルの一般市民についていえば、1人が亡くなり2人が軽傷をおっただけでした。
なぜなら、ロシアのプーチン大統領が国防相のセルゲイ・ショエグ氏をつうじてイランの最高指導者アヤトラ・ハメネイ師にイスラエルの一般市民をまきぞえにすることだけはなんとか避けるように最善をつくしてほしい、という旨を伝えていたからだということが後に判明しました。

去年2024年にイランだけではなく、イエメンのフーシ、そしてレバノンの武装組織ヒズボラなどの武装組織から数回にわたるドローンやミサイル攻撃をうけたイスラエルは、とうぜんのように迎撃ミサイルの保有量が激減していきました。
そこへ今回の『12日間戦争』です。
はたしてこれから3ヶ月後に、今回イランと交わして底をついた迎撃ミサイルの生産が追いついているのかどうか、そのあたりが目安になるのでしょうね。
なんて、こんなことを書いているあいだにも、今回の仮『停戦』にはかかわりなく、ハマスやフーシやヒズボラはイスラエルへのドローン攻撃やミサイル攻撃をやめません。
大手メディアには取りあげられていませんけれど、イエメンの反米・反イスラエルの武装組織フーシはイスラエルへミサイル攻撃をしましたし、紅海では船舶を沈めたりしています。
また、2025年7月20日現在、フーシの発射したミサイルでイスラエルの空港のほとんどがことごとく破壊されたという情報がはいってきています。
それだけではなく、米国は米国で、2025年7月13日の時点でソマリアへの空爆をつづけています。
ただ、米国政府そのものが空爆を認めているのにもかかわらず、やはり西側の大手メディアではその話題すら上がっていません。
ウクライナとイスラエルの両国が崖っぷちに追いやられているというのに、ソマリアだけではなくシリアやイエメンなどでの小競り合いをつづけて爆弾を落としたりしているのがアメリカという国です。
周辺諸国だけでは満足せずに、わざわざ遠方の帝国にまで出かけていって、あらゆる場所で戦闘をつづけたせいで、みるみる自国の経済崩壊をまねき、政治腐敗とともに終焉をむかえた古代ローマ帝国を思いおこさせるものがあります。
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イスラエルが見ている夢とイランがもたらす現実
もしも今後ふたたびイスラエルとイランとのあいだに弾道ミサイルが飛び交う状況がおとずれた場合、米国とEU諸国、とくに英国は、とうぜんのことのようにイスラエル側につきます。
米国の政治家はイスラエルの政治的圧力団体AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)から多額の寄付金や選挙費用や賄賂を受けとっています。
なにしろトランプ大統領が今回の選挙に勝てたのも彼らの援助があってこそだ、と大統領本人が認めていたくらいですから。
それと同様の政治的圧力団体(イスラエル・ロビー)はもちろん英国にもいくつかありますし、英国の議員さん方がイスラエルからの多額な寄付金を受けとっていることはすでに常識のひとつとなっています。
西側諸国の政治家のみなさんはイスラエル政府の願望をかなえる立場でなければいけないのはとうぜんでしょう。
けれども、最近ではイスラエル軍によるパレスチナ人の大量虐殺と飢餓問題があまりにも常軌を逸しているため、世界中の国々がイスラエルを批判する側にまわっていますし、英国の議会だけではなくEUの内部でも意見が対立しはじめています。
はっきり言って、いまだにイスラエルの肩をもっているのは米国のみとなってきました。
なにしろ、アメリカに関していえば、いままでもずっと武器と情報システムをイスラエルに供給してきましたから。
ただし、イランという中東の大国と本格的な戦いになったら、けっきょく地上戦なしには決着がつかないはずなので、おしまいには海兵隊や歩兵部隊を送りこまなければいけない事態になるかもしれません。
ところが、イランはアフガニスタンよりもさらに険しい山々に囲まれています。
その山々をなんとか踏破できたとしても、こんどは広大な砂漠が待ちうけています。

しかも中近東独特の照りつけと砂嵐にみまわれる情け容赦のない砂漠地帯なのだそうです。
その砂漠を通りぬけてようやくイランの軍事拠点や都市への足がかりを得られるというのですから、四方を海にかこまれて守られている日本とおなじように、イランの場合は山岳地帯と砂漠というふたつの厳しい地形に守られている国だともいえます。
それになにしろ国土はイスラエルの74倍の広さ。
人口は7,434万人でイスラエルの762万人にくらべて約10倍です。
ですから、イラン本土に歩兵を送りこんだらとんでもない惨劇と敗北にみまわれるのは見え見えだ、というのがおおかたの軍事戦略家の方々の意見です。
そんな国に戦争をしかけることそのものが狂気の沙汰とおもわれてもしかたがありません。
イスラエルの崩壊を招くだけだ、という辛口の記事をすら目にします。
アメリカやイギリスがうしろについているからこそできることです。
また、今回の12日間戦争で、イランが飛ばしたドローンと中距離弾道ミサイル、そしてもっとも致命的な打撃をあたえた極超音速ミサイルによって、イスラエルの国土の3分の1が甚大な被害をうけたことがようやく最近になって(停戦から1ヶ月以上すぎて)わかってきました。
イスラエルの主要な空港だけではなく、石油精製所2ヶ所と、国際的な港湾都市ハイファもかつてないほどの壊滅的な被害をこうむったようですから、空と海の両方をふさがれてしまったのも同じです。
つまり支援物資をとどけることが不可能な状態におちいっているとのこと。
それだけではなく、イランが米国とイスラエル両国に「これ以上米国がイラン本土を爆撃するつもりならば、ホルムズ海峡に機雷をばらまきます。それでもいいんですか?」と伝えてきたことも、今回とつぜんの『停戦』が実現した理由のひとつだと言われています。
つまり世界の株式市場がパニックを起こす前に『停戦』するしかなかったのでしょう。

ところでイスラエルの国土の面積は四国とほぼおなじです。
それくらいの国土しかない国が、今回のように、イランから飛来した550発にもおよぶ弾道ミサイルと1,000機をゆうに超える自爆型ドローン、そして迎撃不可能な極超音速ミサイルによる攻撃をうけたのですから、たとえその75%を迎撃できていたとしても、『停戦』はとうぜんの結果かもしれません。
ところでイスラエルは、海外のマスコミ関係者やレポーターを、軍事的にも重要な港湾都市ハイファが攻撃をうけたすぐ後に警察や国防軍を動員して追い払っています。
その他の都市についてもおなじで、イランから受けた被害の全貌については公表せずにひた隠しに隠してきたのですが、ここにきてようやくなにがあったのかが見えてきました。
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消耗戦なのに武器の値段が高すぎるってヤバくない?
ロシア・ウクライナ戦争でもそうなのですが、21世紀の戦場ではドローンとミサイルの飛ばしあいこで勝敗がきまり、そのベースとなっている戦略はひとえに『消耗戦』(war of attrition)にもちこむことのようです。
つまり徳川家康の「鳴くまで待とうホトトギス」です。
どちらが先に手持ちのミサイル数がゼロになるのか。
そこへ誘いこむのがメジャーの戦略となっているのです。
武器生産力のない国は戦争をつづけられません。
はっきりいって勝ち目はありません。
ドローンやミサイルがどれほど最先端のものであるかどうかにはかかわりがありません。
群れをなしたドローンからはじまって、つぎに弾道ミサイル、そして地上すれすれに不規則な飛び方で近づいてくる巡航ミサイル、くわえて最後の仕上げに極超音速ミサイル。
そんな数のミサイルが同時に飛んできて夜空を埋めつくしたら迎撃するのは不可能になります。
飽和攻撃と言われている戦略です。
なにしろ、たかだが中古車1台分200~300万円ほどのドローンを迎撃するのに、パトリオットミサイルがすくなくとも1~2発は必要になるのだそうです。
また1億5千万円前後の古臭い弾道ミサイルを撃ち落とすのには3発から5発のパトリオットミサイルが必要になります。
そのパトリオットミサイル1発のお値段は6億円。
どう考えても、わりにあわないお高い買い物なのです。
イスラエルの経済が崩壊寸前なのも納得できます。
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BRICsつぶしと大イスラエルの達成で一挙両得ってホント?
とにかく、イスラエルの背後にはアメリカがついていますし、それはこれから先もしばらくは変わらないでしょう。
ネタニヤフ政権が崩壊でもしないかぎりは。
また、いったん全面戦争へと事態が悪化したときには、米英両国がともにイスラエルへ武器と情報を供給しているように、ロシアと中国はイランに武器と情報システムの提供をおこなうものとみられています。
なぜならイランは中国・ロシア・インドなどのBRICs諸国(ブリックス)にとって、たいへん重要な拠点ですし石油の供給元でもあるからです。
また中国とロシアが共同で作ろうとしている中国~カザフスタン~ロシア~地中海へとつながる新たなる輸送路(新シルクロード)にとって、イランとアゼルバイジャン(現在は米国・イスラエル寄り)は大切な地理的拠点でもあるために、イランを守ることはBRICsに加入している国々の未来の経済発展にも関係してくるからです。
だからこそ、反対に、世界の一極支配をのぞむ『戦争職人』の米国は、なんとかイランをつぶして米国の言いなりになる政権をすえ、BRICsの出鼻をくじきたいと考えているでしょう。
イスラエルはイスラエルで、過去50年ものあいだパレスチナ人擁護にまわってきた反イスラエル勢力のハマスやフーシやヒズボラに資金と武器の援助をつづけてきた巨大なイスラム教の国家イランがけむたくてしかたがありません。
イランが文明のゆりかご(なにしろ古代文明メソポタミアのゆかりの地ですから)でもあったというプライドも鼻につくのでしょう。
過去3千年ものあいだ、ほぼヨーロッパ全域のひとびとから嫌われ、ヨーロッパの国々のほとんどで差別待遇を受け、母国すら得ることができずにさすらいつづけたアシュケナージ系ユダヤ人は、それでも自称『世界でいちばん優秀な民』というプライドを持ちつづけているのですから、極東の島国に暮らしている女の目からすると「おたがいさまじゃないのかなぁ」といった印象をうけてしまいます。
ちがいがあるとすれば、そんなユダヤ人たちにしいたげられているパレスチナのひとびとに救いの手をさしのべようとしてきたゆいいつの国がイランだったということです。
イラン人からすればパレスチナ人はイスラム教を信奉する同胞、つまりムスリム(イスラム教徒)なのです。
そんな彼らがヨーロッパから逃げ出してきた難民である白人っぽい顔のアシュケナージ系ユダヤ人を信頼しているはずもありません。
しかも、さも中東の人間であるかのような通名を使っている、たとえばネタニヤフ(父親の姓はミレイコフスキー)のような人間が権力をにぎり、元はヨーロッパ人だった彼の両親たちによって建国されたのがイスラエルなのですから。
しかも、そんな中東のなかの「よそ者」イスラエルにいじめられ殺されているのが同胞のパレスチナ人とあっては、ただ黙って指をくわえて見ているわけにはいかないのでしょう。

それとは正反対に、ネタニヤフ首相の1980年来からの夢はなにかと言いますと、周辺のイスラム教国のほとんどすべてをイスラエルの支配下におくという「大イスラエル」(Greater Israel)計画です。
それら周辺の国々はどこかと言いますと、シリア・レバノン・リビア・イラク・ソマリア・スーダン・イランで、2001年9月11日の米国多発テロ事件から2ヶ月後の11月に当時のブッシュ大統領によって「悪の枢軸」と名指しされた国々です。
米国とイスラエルによる経済制裁と軍事力によってそれらのイスラム国をつぎからつぎへと弱体化し、解体し、崩壊させ、政権交代(首のすげかえ)をさせることが重要なプロセスとなります。
なぜなら、イスラエルにたいして「こびへつらう政府」(Toady Regime)をすえ、経済・軍事・国防のあらゆる面において完全な支配体制を確立することが目的なのですから。
もちろんその背後には1986年に米国議会へ招待されたときからずっとそれを言いつづけてきたネタニヤフ首相のもくろみがひそんでいます。
サウジアラビアやトルコやエジプトは圏外なので高みの見物をしていられますけれど、そんな馬鹿げた夢の実現をイランがゆるすはずはありません。
なにはともあれ、ふたたび始まるであろうイランとの全面戦争でいちばんの不安を投げかけてくるのはイスラエルの出方です。
核兵器の使用に関して、諸外国の地政学者や軍事評論家がいちばん恐れているのは、じつはイランではなくてイスラエルのほうなのです。
イランはいままで何度も国際原子力機関(IAEA)の調査団をうけいれ、核爆弾の開発にはいっさい興味がないということを事あるごとに強調してきました。
それは国連の武器調査官や戦略地政学者の方々も認めていたことです。
また、第二次トランプ政権の国家情報長官に任命されたトゥルシー・ギャバードも、今年2025年3月にひらかれた公聴会において「くわしい調査の結果、イランが核兵器の開発をおこなっていないことは確実です。また、核弾頭を保有してもいません」と発表しています。
ただ、ここにきて、イランはついに米国と正常な国交を回復するという夢をあきらめ、経済的にもBRICsだけにたよるという道をえらび、国際原子力機関への協力を停止してしまいました。
米国が地中貫通爆弾(バンカーバスター)などを投下したせいで、こんどは本気でイランが核兵器の製造にのりだしたとしても、それはもう外部からは見えなくなったわけです。
米国のせいで全面戦争への危険度がさらに増したとしか考えられません。
とはいっても西側諸国のメディアでは、英語の Nuclear Development(ニュークレア・ディベロップメント)ということばに関して、それを北朝鮮やイランがつかったときにはなぜか『核開発』と翻訳され、そのおなじことばを同盟国のフランスやドイツや日本などが使用した場合には『原子力開発』と訳される、という、とてもふしぎな現象がみうけられます。
パレスチナ人の大量虐殺とガザ市の破壊をおこなっていることで全世界から白い目をむけられ、国際裁判所からは戦争犯罪人のレッテルを貼られ、国内でも汚職と賄賂の問題をはじめとする数々の裁判が待ちうけているネタニヤフ首相がどうしようなくいきづまり、核ミサイルに手をだすのではないかと懸念されています。
そうなると世界最終戦争への地獄の門が開いてしまいますので、なんとかこれ以上に状況が悪化することを食いとめるためのエスカレーション・マネージメント(戦争拡大防止対策)が必要になってくるとはおもいますが、いまのところイスラエルのネタニヤフ政権は「イケイケ」というよりは「自分の権力と利権を守るには、もうやるしかない」という状態に追いこまれていますので、もしかしたらとんでもないことに…というのが、コンビニエンス・ストア3社のコーヒーの値段があがってなげいているわたしたちが目にしている世界の現在です。
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なぜここまで地獄の門がひらきはじめたの?
ハマスがおこなった2023年10月7日の奇襲攻撃はイスラエルのネタニヤフ政権によって「もっとも残虐なテロ行為」とされました。
1200人のイスラエル人が殺され、251人が人質として連れさられたのです。
それをきっかけにしてハマス・イスラエル紛争がはじまりました。
現在、2025年7月の時点で、イスラエルの空爆や市街戦によるパレスチナ人の死者数は5万6千人にものぼると発表されています。
ただ、みなさんもご存知の『Nature』(ネイチャー)誌によると2023年末から2025年1月までの死者は84,000人と報告されています。
この『10月7日事件』(October 7 attacks)は2001年9月11日に発生した米国国内へのテロ攻撃をおもいださせるものでした。
あのツインタワーの崩壊をきっかけにして米国がアフガニスタンやイラクへの戦争をはじめたときのシナリオにあまりにも似ていると言われてもいました。
海外では「まるで同じ悪夢を2度見たような気分にさせられた」と述べたり書いたりした有識人も数多くいました。
あのとき米国の大統領職についていたバイデン氏自身が「これは9/11だ」ということを強調して、「イスラエルの味わった驚きと痛みと怒りを理解しなければならない」とネタニヤフ政権側に立った発言をしています。
まさにその事件が「よ~いドン」だったかのように、イスラエル政府と英米の大手メディアは、2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃による被害を大々的にとりあげはじめました。
また英米の大手メディアは10/7による被害状況(捏造されたものが数多くあります)を強調しつつ「イスラエルはみずからを守る権利がある」(Israel has right to defend itself)というキャッチーフレーズとともに、彼らに占領統治されている側のパレスチナのひとびとの状況は語らず、ハマス側の意見にはいっさい耳をかすこともなく、ほとんど計画的にパレスチナのひとびとを虐殺しガザ市を破壊するイスラエルを擁護するためのきっかけにしました。
これは国際法に違反するものでした。
いえ、それだけではありません。
そもそも占領支配をしている側の国家が「自分たちはみずからを守るために相手を攻撃する権利がある」と声高に主張するのはおかしな話なのです。
ちょっと考えてみればわかることですけれど、自分たちが占領統治している国から「自分の身を守るために」という理由でその国を攻撃する権利がある、という主張は国際法では成り立ちません。
イスラエルに自衛権はないのです。

反対に、自衛権があり、かつ、支配国家にたいして暴力的な抵抗をする権利をすら認められているのは、じつはパレスチナのほうなのです。
ですから国際法の範囲内では、ハマスの奇襲攻撃は、テロ行為どころか、一種の戦略的抵抗運動のひとつとも解釈できると考えられます。
にもかかわらずイスラエルはガザ市の一般人を空爆で無差別に殺害しはじめました。
くわえて、77年ものあいだ壁の内がわに閉じこめられてイスラエルの経済的搾取と恐怖統治に苦しんできた側のパレスチナの一般市民をハマスの兵士であるとみなして性別・年齢すら問わずに虐殺するなんて(女性と子供たちが数多くふくまれています)、やることなすことすべてがあまりにも支離滅裂で、もう説明にも何にもなっていません。
けれども、この常識はずれの不可解な論理を批判する声はどこからも聞こえてきませんでした。
また、西側諸国でそんなイスラエルの行為をとめようとする国もありませんでした。
米国が背後にいることを知っていたからです。
そしてイスラエルが何を言おうが何をしようが米国はその政策と行為と利権を守ろうとする、という現実を知っていたからです。
いつものことです。いつもこのようにして戦争ははじまります。
立ち止まって「どうして?」と疑問符をなげかけるような意見は濁流のようなパワーでアッという間におしながされてしまいます。
すでに出来上がった事実をふりまわしながら「いまはもう議論しているときではない、行動に移さなければいけないときなのだ」というプロパガンダが大手をふって歩きはじめます。
事実、イスラエルとハマスによる武力衝突はまるであの日『2023年10月7日の奇襲攻撃』からとつぜん始まったかのようでした。
イスラエルによるパレスチナ自治区にたいする77年間にもおよぶ支配のもと、どのくらいの数のパレスチナ人が殺されてきたかを発表する大手メディアはありませんでした。
じつは、2023年10月7日にハマスがイスラエルへの奇襲攻撃をおこなったその同じ年の1月から10月6日までの9ヶ月間に、なんと237人のパレスチナ人が殺害されているのです。
ほとんどは一般市民だとみられています。
イスラエル国防軍のほうは29人が殺されています。
それだけではありません。
2014年にはイスラエル軍によってその年だけで2,329人のパレスチナ人が殺されました。
また、たとえば、2008年からハマスが奇襲攻撃をおこなった2023年の10月7日までの15年間に殺されたパレスチナのひとびとの数は6,346人、イスラエルのひとびとは255人。
また、この期間での武力衝突による負傷者の数はパレスチナ人が153,392人でイスラエル人は6,269人。
これらの死者数・負傷者数に関しては両者ともに一般市民だとみられています。

つまり、イスラエル軍によるパレスチナのひとびとにたいする残虐行為はいまに始まったことではなく、ハマスの反撃もいまにはじまったことではありません。
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プロパガンダという麻酔剤はけっこう効きますよ~
いままでもくりかえし書いてきたことなのですけれど、なぜか戦争はいつもそんなふうにある特定の日をきっかけにしてはじめられます。
自国民が殺されたという事実さえつくってしまえば戦争で利益を得ることのできる支配層の方々にとってはもうウキウキで「Goサイン」です。
あとは、ひとびと(国民)の意見をどのようにして「もう戦争をするしかない」という考えへと誘導するかという問題と方法だけが残されます。
それを解決してきたのが『プロパガンダ』(不可視の洗脳)という新しい技術でした。
20世紀初頭、1915年当時、第一次世界大戦のさなか、米国ではロックフェラー家を筆頭に、モルガン家やコーク家などの財閥が参加し、まだ生まれたばかりの新しい学問「行動主義心理学」と19世紀後半からニューヨークのマディソン街に作られはじめた「広告代理店」をつかった資本家の右腕となる産業と、同時期にヨーロッパから渡ってきたアシュケナージ系ユダヤ人によって作られた「ハリウッド」という映画産業をひとつにして、それらの宣伝力と心理学をうまく使えば、国民の心理、つまり『世論』を自由自在に操作できるようになるのではないかという研究がなされました。
『合意の捏造』とか『世論の製造』と呼ばれているプロパガンダ技術の誕生です。
マニュファクチュアリング・コンセント(Manufacturing Consent)と呼ばれています。
それが成功すれば、自分たちに利益をうむ商品を売ることができるようになるだけではなく、どのような考えが正しくどのような考えは正しくないかという国民ひとりびとりの善悪の判断にも影響をおよぼすことが可能になるのではないか、というのが狙いでした。
そのときに行動主義心理学者が出した結論は「民衆は論理的・理性的な説明には興味をもたないし説得もされない。それよりも感情にうったえかけてくる説明のほうにより強く影響をうけやすく、またそちらの説明のほうを信じやすい傾向がある」というものでした。
つまり「理性ではなく感情にうったえかけたほうが効き目がある」という結論を出したのです。
まるでアインシュタインの質量とエネルギーの関係をあらわしたE=mc2なみのシンプルでパワフルな答えを得て支配層の方々はさぞかし感激の涙を流したのではないでしょうか。
国民の心理と行動を自由自在にあやつることのできる魔法の方程式を手に入れたわけですから。
ヒトは脳で考えるのではなく心で考えるのです。
People don't think with their brains, they think with their hearts.
戦争をはじめるときに「かよわい」「無垢な」赤ん坊や子供や少女や女性の被害者が必要になるのはこのためです。
さきほど言いましたが、これがいわゆる社会学や政治学の世界で『合意の捏造 / 世論の製造』(Manufacturing Consent)と呼ばれるものでした。
たとえばタイムマシンに乗って1940年代から50年代にかけてのフィルム・ノワールと呼ばれる白黒フィルムで撮影された犯罪・ミステリー映画の最盛期に出かけてみましょう。
すると主役のハンフリー・ボガード(ボギー)やジェイムズ・ギャグニーやローレン・バコールなどがしきりにタバコを吸っているのを目にすることができます。
とてもイカした吸い方で、本物のオトナの男になるためにはタバコを吸わなくてはいけない。また、セクシーでかつ頭の良いオトナの女性になるためには、あんなふうに素敵なしぐさでタバコを吸う練習をしなくちゃいけない、とおもわせてくれるでしょう。

その映画を見終わって家に帰ってテレビをつけると、こんどは当時のテレビコマーシャルのなかに白衣を着たお医者さんたちが登場します。そして「忙しく働くお医者さんは、その専門分野にはかかわりなく、ほとんどの方がキャメルのたばこを選んでいます」というナレーションとともにお医者さんたちがうれしそうにタバコに火をつける映像を目にします。
つまりお医者さんの「権威」によってタバコは「安全」だとおもわせているのです。
これこそが資本家たちのみごとなプロパガンダのお勉強の結果と企画の成果なのでしょう。

このプロパガンダのパワーを知ったら、子供をお持ちの方ならだれしもがいちどは手にしてみたい「打ち出の小槌」だということにお気づきになるかもしれません。
言うことをきかない子供が自然に自分の意見に従うようになる。
自分が食べさせたい健康食品をちゃんと食べるようになる。
服を汚すのはいけないことだと信じてヤンチャな遊びはしなくなる。
ときにはそれも必要だからということで、野山で遊ばせたあとは、なにも言わなくても自分からきちんと手を洗ってシャワーを浴びるようになる。
子供が寝静まったあとで夫や妻とこっそりおいしいものを食べたり、こっそり楽しいことをしていて、それを子供に見つかったとしても、そのことについて詰問するのはいけないことだと信じる礼儀正しい子供に育ってくれる。
親の言うことにいちいち反論せずになんでも「はい。はい」と素直に言うことをきくようになる。
いくら「ヤンチャなものが大好き」なわたしでも、たぶん、親という立場にあったとしたら、正直なところ1年に1度くらいはこういう魔法のパワーを手にする夢を見たかもしれません。
もしそうだとすれば、国(とくに政治家)を寄付金や献金で買い取っておられる方々や、巨大な世界的コーポレーションの株の大部分をお持ちの支配層(財閥・株主・機関投資家)の方々が、わたしたち一般市民にたいして抱いている気持ちも理解できるはずだとおもいます。
ところで米国の巨大タバコ会社は、自社がひきいる研究チームによって、1950年代初頭にはすでに喫煙と肺がんの発症率についてのくわしいデータをもっていたことが後年わかりました。
けれども、じっさいにタバコのパッケージに『喫煙は肺がんを引き起こす可能性があります』という一文が印刷されるためには、1965年まで待つしかありませんでした。つまり、真実がすでにわかっていたのにもかかわらず、タバコ会社がそれを認めるまでには15年以上の歳月が必要だったのです。ですから、そこにいたるまでには数えきれないほどの裁判と巨額の費用と人命がうしなわれたこともたしかです。

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ではハマスの奇襲攻撃はどんなふうにあつかわれたの?
さて、戦争の場合もおなじようにプロパガンダ(不可視の洗脳)がつかわれます。
いえ、もともとは、欧州での第一次世界大戦勃発後、他国の政治や戦争にはかかわりたくないというアメリカ孤立主義に固まっていた国民心理をどのようにしたら参戦の方向へもっていけるだろうか、という銀行家と機関投資家の問いから発生したのがプロパガンダの研究だったわけですから、戦争に関して国民心理をあやつることにかけては、とうぜんのことながら、お手のもの(得意中の得意)なのです。
「ハリウッドの戦争映画やアクション映画を見ていれば、米国が戦争をしかけようと考えている国家がどこなのか3〜4年前から予想がつくよ」と言ったのは、たしか世界的に有名なYouTuberのジョー・ローガン氏だったような記憶があります。
彼がいうには「アクション映画のなかで誰が悪役なのかを見たらいい。どの国の人間、もしくはどんな宗教を信じている人間が狂信的テロリストや爆弾犯人や幼児誘拐犯にされるのかを見ればすぐにわかるさ。そういう映画ばかりが増えてきたとおもったら、ちゃんとその国と戦争がはじまる。ぼくたちにその国のイメージ、つまり国民性や彼らが信じている宗教への先入観を植えつけておいて心の準備をさせているんだよ、きっと」ということらしいのですけれど、大手メディアでは、いつものようにジョー・ローガンさんのことばは『陰謀説』としてあつかわれていたようにおもいます。
とにかく、さきほども述べましたが、戦争の場合にはある日とつぜん敵からの攻撃をうけて同胞が殺された、という事実を作りだすことからはじめられます。
1941年12月8日のパールハーバーにおける日本軍の奇襲攻撃を忘れるな。
2001年9月11日のツインタワーへの奇襲攻撃を忘れるな。
2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃を忘れるな。
いつもこうです。
もちろんそれだけではありません。
おなじ国民・同胞・仲間・味方がどのような方法で殺されたのかというディテールも大切になってきます。
いちばんかんじんなのは「こちらは何もしていないのに向こうがいきなり暴力にうったえてきた」という物語です。
この一方的にひどいことをされた、つまりレイプされるのと変わらないことをされた、という物語が国民を説得するにはいちばん即効力のあるものだと考えられています。
なぜなら、こちらも相手にそれ相応のよからぬことをしたのでしたら、一般市民のあいだでは常識とされている『喧嘩両成敗』(けんかりょうせいばい)という冷静でおだやかな考えが頭をもたげてくるので戦争にもちこむのがむつかしくなるからです。
また、じつはこれまでずっと相手にひどいことをしてきた、という過去が暴露されたら、やはり一般市民のあいだでは良識のひとつとされている『因果応報』という考えが頭をもたげてきてひとびとの攻撃性をなえさせてしまいます。
ですから国民にはそのような状況に至るまでの流れを教えたくないのはとうぜんでしょう。
ひとびとには歴史を忘れてもらわなければいけません。
その状況にいたるまでの「いきさつ」には目を向けないようにしてもらわなければいけません。
そのかわりに新たにつくられた説明を信じてもらわなくてはいけません。
とくに支配層の方々にとって、戦争で利益を得ることができるような説明こそが自分たちに都合のよい説明なので、なおさら過去の事実や真実には国民の目が向かないようにしなければいけません。
歴史は支配層による「接ぎ木」(書き換え)によってたえず変化してきた、というのは1980年代に脱構築が流行していた大学などでフランス哲学などをかじった方なら馴染みの深い考えだとおもいます。
もともと過去の記録・文物によってかたちづくられた「歴史」と呼ばれるものは、ことばを使うことのできた支配層やエリートたち、つまりそのときどきの統治者や御用学者さんたちによって制作されたものなのです。
歴史とは彼らが記載して残してきたものの集合体であって、99%の「ことばを持たずモノも言わず聞いてくれるひともいない」ひとびとがつくってきたものではありません。
わたしたちは口伝という方法よりほかに過去を残す方法をもっていなかったのですから。
たとえば、小説や俳句という新たなことばの技術を手にするまでは、わたしたち一般庶民の生活とその時代の空気(ツァイトガイスト)を後世に残すことはむつかしかったのです。
つまり、わたしたちが知っているつもりの歴史とは『無言の大衆』(The Silence of the Social)がつくってきた過去の姿ではないのです。
…と、このような考えが東部の名門大学(アイビーリーグ)だけではなくて中西部のシカゴ大学などでも大流行していました。
とてもなつかしい香りのする歴史観だとおもいます。
ところが、この『無言の大衆』という概念とその現実を打ち砕くものがあらわれました。
ソーシャル・メディアです。
ソーシャル・メディアのおかげで、だれでもが「公共の場所」にむかって自身の生活の記録や意見を発表できるようになったのです。
まさに『革命』でした。
このわたしのブログもそのひとつです。
けれども、いま、ブローバルIT企業によるアルゴリズムの操作によって、ヒトがじっさいに運営しているサイトのコンテンツにたいして、目に見えない検閲が行われています。
とくに英国などではそれが顕著で、政府はある特定のことばや考え方にたいして、それをネット上で表現することを違法とする法律を通したようです。
その理由は「ある特定のひとびとを蔑んだり憎んだりすることは犯罪だからだ。ヘイトスピーチはゆるされるものではない」というもっともらしいものでした。
とはいっても、これは他のエッセイでも書いたことがありますが、ほとんどの国々で憲法によって守られている『表現の自由』とぶつかりあって火花を散らすことになるでしょう。
そもそもどこの誰が「こういうことばづかい、この手の意見、また、こんな考え方やモノの見方はヘイトスピーチにあたる」と判断するのかすらわかりませんし。
もうひとつ不安を感じさせられるのは、アメリカの大手IT企業が、2016年前後から、ソーシャルメディアにおいて、特定のコンテンツ(商品やサービスなど)への誘導をおこなってきたという事実が判明したことかもしれません。
AIの自動プログラムがつくりだした架空アカウントと、そこに書かれた自動生成記事がすでにネット上の30%を占めているらしいのです。
商品や記事に投稿された「イイね」などをはじめとする評価コメントの70%が自動生成プログラム(ボット)によるものだとも言われています。
こんなことを続けていると、YouTubeやWebサイトをふくめたソーシャルメディアから人間の作ったコンテンツが消えてしまうのではないでしょうか。
そんな不安を抱かずにはいられなくなります。
統治者たちが記してきた『歴史』とは異なる、わたしたち一般市民の手によって書かれた『歴史』。
それを残す手段をようやく手にいれたところだったのに、わずか数年のあいだにその夢すら消えてしまうのでしょうか。
そうなると、もう、わたしたちを統治している方たちの独断場です。
お話をもどしますと、仮想敵国にたいして紛争への火種が生まれたとき、統治者として、わたしたち一般人には紛争にいたるまでの流れを知られたくない、ということでした。
そういう意味では『奇襲攻撃』という事実を全面に出すのがいちばんわかりやすく手っ取りばやいのです。
わが国は相手国になにも悪いことをしてこなかったのにもかかわらず、相手国はいきなり寝首を搔くような暴挙に出てきた、という台本(説明=ナラティブ)がもっとも理解しやすいからです。
白黒がはっきりつきますから。
悪人がどちらなのかすぐに理解できますから。
それだけではありませんでした。
イスラエル側は自分たちが日夜おこなっているパレスチナ人にたいする残虐行為を正当化するために、首を斬り落とされた40人にもおよぶイスラエル人の赤ん坊の死体を目撃した、というニュースを世界中の大手メディアをつかってひろめました。
また、生きたまま焼き殺された赤ん坊の死体があった、とか、何人もの女性たちが両親の目の前だけではなくハマスの兵士たちが見ている前でレイプされ輪姦された、などというニュースも世界をかけめぐりました。
第一次イラク戦争のときもそうでしたが、国家が戦争をはじめるときには、いつもなぜか「無垢でかよわい」赤ん坊や少女たちが惨殺されたり強姦されたりという残虐行為と性的虐待のふたつをもちだしてきて、いっきに国民の感情をゆさぶるのが常套手段になっていることはおわかりになったとおもいます。
けれども、そのあとわずか6ヶ月もたたないうちに、著名な調査報道記者たちから『40人の首を切断された赤ちゃんの死体』と集団レイプに関するクレームは根拠もなければ物理的証拠もない(ただし数件のレイプ事件は報告されています)として否定されました。
また、レイプされたと言われていた女性たち自身が、イスラエルのテレビ局のインタビュー番組に出演中に、人質の身から解放されるまでのあいだ「ハマスの兵士たちはわたしたちをずっと大切にあつかってくれた」と反論しはじめたせいで、ネタニヤフ政権が世界に流したプロパガンダのメッキがつぎからつぎへと剥がされていったことも記憶に新しいのではないかとおもいます。
そんな残虐なフェイク・ニュースにのせられているあいだ、ネタニヤフ政権は、病院の地下にはハマスの秘密基地があるという理由で、ガザ市にあるパレスチナ人のための病院をつぎからつぎへと破壊していきました。
そのせいで子供たちは麻酔もないままに手足を切断しなくてはいけないような手術をされているという報道も記憶に残っています。
現実におこっていることのほうが捏造された残酷物語よりもさらに残酷だったのです。

政治家は古代ローマの時代から弁論術ひとつで生活の糧を得てきたひとたちです。
どんな理屈をこねてでも目的を達成することのできる人物が、その政治家を推すことで利益を得ている方々にとっては「歴史に残るすばらしい政治家」だということになります。
たしか英国の首相サー・ウィンストン・チャーチルが残したことばに『在任中に悪事がバレた政治家はまったくの素人である。引退後に悪事がバレた政治家は中級クラスだ。けれども死後100年は悪事がバレなかった政治家こそが真の政治家だと言えるだろう」というのがありましたけれど、なるほど、とうなずいてしまいました。

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大昔の栄光に泥をぬるニューヨークタイムズが恥ずかしすぎる
それ以上に、ハマスの兵士たちが赤ん坊の斬首を実行したとか、さまざまな性的虐待をおこなったという記事をニューヨークタイムズに掲載して世界中の大手メディアをあおった女性「記者」アナッツ・シュワルツ(Anat Schwartz)は、なんと過去にジャーナリズムに関わった経歴もなければ記事を書いた経験すらないのにもかかわらず、とつぜんニューヨークタイムズに雇われたという事実が、その後すぐに明るみに出てきたのもおぼえています。
イスラエルのフリーランスのジャーナリストだというふれこみだったようです。
ところが彼女がソーシャルメディアで「ハマスがすこしでもイスラエル人の人質に手をかけたらガザ市を屠殺場にすべきだ」というようなイスラエル軍擁護の意見を述べていたことが判明し、ニューヨークタイムズはそれからすぐさま彼女を解雇(dismiss)しました。
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9/11になにからなにまでそっくりな10/7?
また、2024年の中ごろからは10月7日の被害者の大部分はイスラエル軍自身による誤爆(friendly fire)、とくにミサイルを搭載したイスラエルの攻撃ヘリコプターによるものではないかという専門家(ペンタゴンや英国の秘密情報部に勤めている方をふくむ)による意見も多く聞かれるようになりました。
そのため、なぜネタニヤフ首相が国連やその他第三者の検証グループをテロ行為のあった現場に招き入れなかったのかという疑問が深まってきました。
それ以上に汚職と賄賂についての政治的な問題が山積みになっているのが現在のネタニヤフ政権です。
つまり、戦争が終わったときにネタニヤフ首相を待ちうけているのは「戦争犯罪人」という烙印と数々の裁判であることはまちがいありません。
そのためにも彼は戦争をつづけていくしかないでしょう。
周辺のイスラム教国をすべてイスラエルの従属下にするのだ、という狂気じみた夢をイスラエルの国民に売りつけながら。
けっきょく9/11をきっかけにイラクには大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction)がある、という大嘘をついて戦争をはじめた米国のやり口をネタニヤフ政権はそっくりそのままマネたのではないかという意見もあります。
なぜなら、9/11のときとおなじように、2023年10月7日にハマスが奇襲攻撃をしかけてくるかもしれない、という情報は世界中の情報機関、たとえば英国秘密情報部MI6やトルコ国家情報調整委員会MITやエジプトやサウジアラビアの軍事情報部などによって事前に伝えられていたらしいのです。
にもかかわらずネタニヤフ政権はそれらの警告を完全に無視しました。
まさに、なにからなにまでもが2001年9月11日にいたる流れをおもいださせるものがある、と1990年の第一次イラク戦争(湾岸戦争)で指揮をとり、米軍にひとりの負傷者も出さずに勝利を得たダグラス・マグレガー大佐などが述べています。
たしかに、9/11の同時多発テロ事件のあと、現場でうごいていたFBIの捜査官やCIAのエージェントが「近いうちに米国の国内で大規模なテロ行為が発生する可能性がある」ということを事前に警告していたのにもかかわらず上層部はそれを無視した、ということで公聴会すらひらかれました。
それも記憶にのこっています。
それにくわえて、もうひとつ新たな疑問が生まれています。
ようやく今年になってイスラエル国防軍(IDF)の兵士たち自身による証言によって明らかになってきたことなのですが、あの10月7日、ハマスの奇襲攻撃がはじまる直前からその最中にかけて、つまり午前5時20分から9時までのあいだ、前哨基地にいた副大隊長に上層部からパトロールに出てはいけない、という停止命令が出ていたということです。
それだけではなく「撤退命令」(スタンド・ダウン)が出されていたらしいのです。
「この場所は地球上でもっとも監視がきびしい場所とも言われているほどに危険区域であるのにもかかわらず、なぜいつものように前線パトロールの停止命令が出たのか不思議でならなかった」とイスラエル国防軍の兵士たちが証言しています。
また「ハマスによる襲撃があったという情報が入ってきたのにもかかわらず、なぜ戦いに参加できないのか理解できなかった。けれどもわれわれ兵士は上層部の命令には逆らえないので歯をくいしばって耐えるしかなかった」とも証言しています。
ハマスの奇襲攻撃がはじまったのは午前6時30分ですし、例の『スーパーノヴァ音楽祭』での虐殺がおこなわれたのは午前7時からです。
そんな深い汚れた闇につつまれた疑問の数々が、いま、ネタニヤフ首相をじりじりと追いつめていることはまちがいありません。
わたしたちは『事実は陰謀説よりも奇なり』とでも言うしかない世界に暮らしているのかもしれませんね。

おなじように「偶然にか故意にかわからないが、とにかく警告を無視して備えをしていなかったためにイスラエル軍の出動がおくれ、その結果としてコンサート会場にいた人々の多くが殺されることになったのではないか」と批判している軍事戦略家の方々もいます。
これがイスラエル・ハマス紛争のきっかけになったのですから。
そして、この10月7日の奇襲事件を、まるでナチスドイツが第二次世界大戦時におこなったユダヤ人の大量虐殺『ホロコースト』とおなじもののように喧伝し、シリア・イエメン・レバノンへの攻撃を強めつつ、イスラエルにとっては最後のボス戦ともなるイラン・イスラエル戦争へと駆けぬけていくことになりました。
米国と英国をひきずりこんで多大な軍事支援を受けながら。
その理由は、ネタニヤフ首相と米国の軍産複合体の守護者たちに言わせると、イランは反イスラエルの武装組織のハマスやフーシやヒズボラを支援している悪の国だから、なのだそうです。
つまり、ネタニヤフ首相が過去40年のあいだずっと目の上のコブとしてきたイランに喧嘩をふっかけることに成功したわけです。
そうすることで、イランを打ちのめし、政権交代(レジーム・チェンジ)させて、米国とイスラエルにとって都合のよい首相をすえて、大イスラエルの夢の実現に到達するための最後の足がかりとするつもりでした。
けれどもその期待は裏切られたのです。
イランは圧倒的な武力で、いまだかつてイスラエルが味わったことのない恐怖と傷跡を与えることに成功しました。
イスラエルが自慢していた完璧なる防空システム『アイアンドーム』だったのですが、じつは去年2024年の4月に両国が交わしたミサイル攻撃の際も、イランから飛んでくるほとんどのミサイルを撃ち落としたのは米軍と英軍が放った迎撃ミサイルでした。
前にも述べましたが、一発の自爆型ドローンを落とすのに必要な迎撃ミサイルが2~3発、弾道ミサイルを撃ち落とすためには、すくなくとも3発から5発のパトリオットミサイルが必要になります。
とうぜん120本にもおよぶ大量のミサイルが飛んできたら迎撃ミサイルがどのくらい必要なのか小学生にだって計算できるでしょう。
イスラエルは、いま、はじめて本土を攻撃されて、物理的にも精神的にも大きな打撃をうけています。
トランプ大統領に電話をいれて『停戦』にもちこんでもらえないかと嘆願したのはネタニヤフ首相だったことが、いま、側近の方たちからの情報でわかってきました。
わずか半年間のあいだに3度も訪米してトランプ大統領と会見したネタニヤフ首相。
アメリカなしには「大イスラエル」の夢をかなえることは不可能です。
とはいっても、いま、アメリカの政治家たちの判断を左右し、彼らの立ち位置に影響をあたえているのは、イスラエルの政治圧力団体AIPACです。
このイスラエル・ロビーから流れてくる巨額な献金と政治資金と賄賂が米国の政治家たちに足かせをしていますし、また、同時にそのおかげで議員たちひとりびとりは潤ってもいるのですから。
まさに『Follow the Money』(金の流れを追え、そうすれば物事の真実が見えてくる)という名言を名言たらしめている現実の構造がそこにあります。
つまり、トランプ政権は「アメリカ第一主義」(America First)どころか、イスラエル第一主義だということはあきらかなのです。
悲しむべきことですが、アメリカの支配層とエリートたちが行なってきたことを見たら、もうイスラエルの言いなりとしかおもえない事実と証拠ばかりがあがってきます。
そのために、昨年、ハーバード大学やコロンビア大学など東部のアイビーリーグで山火事のようにひろがった『パレスチナ人の大量虐殺に加担するのはいますぐやめろ』デモ(しかも主催者の大部分はユダヤ系アメリカ人の学生たち)はおしつぶされ、参加した学生たちは逮捕され、両大学の学長さんがその責任を問われて辞任しなければいけなくなったのですから。
たとえば、日本のトップ大学で『反イスラエル』デモをおこなった学生がいたから、という理由でそこの学長さんたちが国会に「召喚」されてその責任を問われ、四方八方から追いつめられて辞任に追いこめられ、デモをおこなった学生たちは逮捕されたとしたら、日本の政府がどこの国の意見と思惑を優先しているのか明らかではないでしょうか。
いえ、それ以上に、わが国はほんとうに独立国・主権国(Sovereign State)なのだろうか、という疑問すら頭をもたげてくるでしょう。
いま、大学の自治・学問と表現の自由というアカデミアがアカデミアであるためのもっとも大切な価値観すらもがおしつぶされてしまう時代を生きていることに不安を感じないではいられません。
疑えるものすべてにたいして疑問を投げかける。
それを可能にできる場所を提供しているのが大学という機関であり、それを保障するのが『学問の自由』という思想的な大前提だったはずです。
わたしの愛した米国がみるみる「全体主義」国家に変わってゆくこの速度感にめまいを感じないではいられません。
ところで、政治家を判断するときにはその人物が「話したこと」ではなく「行ったこと」を見なければいけない、と語ったのはジョン・F・ケネディです。
いま、そのことばがわたしの羅針盤のひとつになっています。
当時、ケネディ大統領はじっさいに「世界平和」を望んだだけではなくて、それを実現可能にする外交をおしすすめようとしていました。
仮想敵国とみなされている国々の統治者とも話し合いをもとめたのです。
残念ながら、その後すぐに暗殺されて、夢は実現しませんでしたけれど。
くどいようですけれど、イランとイスラエルとの戦争はほんの序章でした。
また、ロシアとウクライナとの戦争は欧州諸国を疲弊させ、移民政策と経済崩壊と政治腐敗にたいするひとびとの鬱憤は限界点に近づきつつあります。
戦争そのものも、いま、終局をむかえようとしています。
では、このあと、いったいなにが起こるのでしょうか?
それはまた別の話になります。
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