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  • 執筆者の写真香月葉子

【画像生成AI】との付き合い方とその可能性とは?

更新日:2023年10月29日


①飽和状態に近づいている画像生成AI業界


 2023年の4月を迎えるまでには、人工知能をもとにした、優れた能力をそなえたお絵描き用プログラムが、数多く登場しています。

 まさに日進月歩の画像生成AI業界です。

 朝の通勤快速電車のように混みはじめてきました。

『花びらに隠れて花になる』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

 わずか1年足らずで飽和状態をむかえようとしているのかも、といった気配です。

 海外のYouTuberの方たちは、すでに[Text to Video(コトバから動画を)]による動画生成AIへと興味の矛先(ほこさき)をずらしはじめています。

 コトバから画像を作り出してくれる画像生成AIについては、今年の2月に『BlueWillow(ブルーウィロー)でわたしのAI画像展【ご紹介】』という記事のなかで、さまざま、紹介させてもらいました。

 ご興味がおありの方は、後ほど、お立ち寄りください。

『迷って森の精になりたい』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

②よりどりみどりの画像生成AIプログラム


 さて、みなさんがご存知の「Midjourney」や「AUTOMATIC 1111版Stable Diffusion Web UI」や「DALL-E 2」や「Easy Diffusion」だけではなくて「Playground AI」や「Leonardo.AI」や「BlueWillow」などもすばらしいプログラムです。

 その他のものではStable Diffusion系の「Dream Studio」や「Jasper Art」などがあり、また、多種にわたる絵の様式だけではなくてアルゴリズムの種類までをも選ぶことのできる「NightCafe」(このネーミングがおシャレです)があったり、「Fotor(フォーター)」や「Pixray(ピクスレイ)」や「PhotoSonic」などもあります。

『あ〜あ、50メートルはムリ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

 また、モバイルアプリになっているものとしては、すでにメジャー入りしている「Dream by WOMBO」や実写風アバターの生成が得意な「Lensa AI」にくわえて、モバイル用ミッドジャーニーともいえる画像を作ってくれるだけではなくて使い勝手の良いインターフェイスをもつ「StarryAI」や、かなり気軽な気持ちで遊べる「Wonder AI」につづき、「DALL-E mini」のブランド再生版ともいえるモバイル用「Craiyon」や「AI Picasso」などがあります。

『和のたしなみ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 これらはすべてコトバから画像を作ってくれる[Text to Image]仕様のものですので、所定の場所に『呪文(Prompt:プロンプト)』と『秘文(Negative Prompt:ネガティヴプロンプト)』をお入れになって「Generate(生成する)」ボタンをクリックなさったら、人工知能が勝手に絵を作ってくれます。

 それがご希望に近いものかどうかはわかりません。

 でも、いろいろとお試しになるうちに、自然と『呪文(じゅもん)』や『秘文(ひもん)』の書き方が見えてきて、いっそうお絵描きの愉しみが増してくるかもしれません。

『あのころもこうして夜空を見てた』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

③クリエータの方たちがお仕事で使うにはどうなの?


 デザイナやイラストレータの方たちにとって画像を作ることのできる人工知能はどんな位置づけになるのでしょう。

 人工知能とどのようにつきあっていけばよいのでしょうか?

 そして画像生成AIはクリエータの方たちにどのような可能性をもたらすのでしょうか?

『だから…ふたりきり』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

 わたしはモノ書きですから、部外者ですけれど、米国からもどってきたとき、しばらくコピーライターとして生活をしていた時期があります。ですから、広告業界でお仕事をなさっている方たちと画像生成AIとのかかわりについては、すこし思うところがありましたので、ほんの「覚書(おぼえがき)」というかメモ程度のものですけれど、読んでいただければしあわせです。

『いつかまぶしいほどの女になるからね』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

 まず、ChatGPTに「Text to Image AIの可能性について教えて」という質問をしてみました。

 すると、次のような解答を出してきました。

『そんなところにいたの?』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

Text to Image AI(テキストから画像を生成するAI)の今後の可能性には以下のようなものがあります。

  1. 創造性を活かしたアート制作 テキストから画像を生成するAIを用いることで、アーティストが簡単にアイデアを形にできるようになります。また、AIが生み出す画像をアーティストが自由にカスタマイズすることで、新たな表現方法が生まれるかもしれません。

  2. ゲーム制作への応用 ゲーム開発者は、AIを用いて簡単に背景やアイテムなどの画像を生成することができます。また、AIが自動生成する画像はリアルなものからファンタジックなものまで多岐にわたるため、幅広いジャンルのゲーム制作が可能になるかもしれません。

  3. ファッション業界での利用 AIが自動生成する画像を元に、デザイナーが衣服のデザインを行うことができるようになれば、新しいデザインの提案や、デザインプロセスの効率化が期待されます。

  4. インテリアデザインの支援 テキストから画像を生成するAIを利用することで、実際に部屋を作らなくても、その部屋のイメージがAIが生成する画像から得られるため、室内デザインのプレゼンテーションに利用することができます。

  5. 非営利団体による利用 非営利団体は、テキストから画像を生成するAIを利用することで、広告制作や宣伝活動の効果を上げることができます。また、情報を視覚化することで、世界の問題の解決につながるかもしれません。

今後、これらの可能性を拡大させるために、AIの精度向上や倫理的課題の解決が求められています。

『美の仕切り屋、ただいま参上』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

 なかなか「お利口さん」な解答です。

 このChatGPTも、OpenAIを基礎にしていますので、Stable Diffusion系の画像生成AIとおなじく、毎回、質問をするたびに、それがたとえ同じ質問であっても、計算後には、微妙に異なる解答を生成してきます。

 ですから、みなさんが目にする解答とは、すこしちがっているかもしれません。


『少女の香りが散りはじめるころ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 ついでに「Text to Image AIの今後の課題と問題について教えて」という質問と「Text to Image AIによって生成された画像の知的所有権について教えて」という質問をしてみてください。

 いかがでしたか?

 ChatGPTによる解答でもおわかりだとおもいますけれど、人工知能を使ったプログラムの進化のスピードがあまりにも速すぎて、法律を作ってくださる官僚の方たちや政治家の方たちの予習が間に合わないような状態ではないかとおもわれます。

 画像生成AIにかかわる法律が整うのにはもうしばらく時間がかかるのかもしれません。

『夢見るオトナ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI


④お仕事で使うときには何が変わるの?


 広告業界でお仕事をなさっているデザイナやイラストレータの方たちだけでなくて、画廊と美術評論家と芸術系雑誌との3角関係を綱渡りなさっているアーティストの方たちにとっても、『たたき台』を作るために画像生成AIをお使いになると、かなり作業時間を減らすことができるのではないかとおもいます。

 つまり、さまざまな案(アイデア)を目に見えるカタチにするときには、とても便利なお道具だとおもいます。

 それまでの手書きからはじめる方法では想像もできないくらいに仕事における作業の「効率」(あまり好きではないコトバです)をあげることができるかもしれません。

 画像生成AIにさまざまなバリエーションを作らせておいて、それを手書きのプロセスへとつなげるのも良いかとおもわれます。

『到着予定時刻は恋のはじまる時刻』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

 それに関連したことなのですけれども、広告業界でお仕事をなさっている方たちにとっては、クライアントにプレゼン(プレゼンテーション:presentation:口頭で説明すること)をされるときに、さまざまなバラエティを作っておいて、それらをラップトップやPadやスマホで見てもらうことができるので、便利かもしれませんし、すでにそれを実行なさっているプロダクションもあるようですから、広告業界におけるコンペ(コンペティション:competition:競技設計)での勝率にも変化をもたらすことができるかもしれません。

『ヒトでもなく、機械でもなく、ただのオンナになりたい』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 画像生成AIを使うことによって、いままでの〈原案→下書きの作成→選択→編集→完成〉といった流れが〈選択→編集→完成〉といったプロセスに変わるのではないかとおもわれます。

 この〈原案〉と〈下書きの作成〉という、もっとも頭をなやませ、もっとも手作業の時間と労力を要する部分を、画像生成AIというアシスタントを使って要領良く「くぐりぬける」ことができれば、デザイナやイラストレータがお感じになる暗雲のような「期日」という重荷もかなり軽くなるのではないかとおもいます。

『日差しも、視線も、まぶしすぎ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee

 人工知能という無機質のアシスタントを、まさに「奴隷」のように使って〈作成〉することで、それまではとても間に合いそうになかった期日にも、もしかしたら、間に合わせることができるようになるかもしれません。

 たとえば、〈原案〉に関しても「まずは、てきとうに画像生成AIに作らせてみて、それを見ながら考えてみよう」くらいのお気持ちでいたほうが、逆におもしろいものを生み出せるような気がします。

 とにかく、この仕事の流れのなかでいちばん大切なのは〈選択〉だとおもいます。

 わたしの場合、読者のみなさまに見ていただいている絵に関しては、ひたすら「自分好み」の女の子を選べばいいだけですから、むつかしいことは何もいりません。

 ほとんど生理的な力にあやつられた視点で選んでいるようなものです。

 女の直感というよりも、ほとんど動物的な本能みたいなものかもしれません。


『ふん、猫耳だからって、どうしたのさ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Playground AI

 でも、スーパーマーケットのチラシから入社案内、化粧品から不動産にいたるまで、さまざまなクライアントのお相手をしなければいけない方たちにとっては、ご自分の趣味嗜好で画像を選択するわけにはいきません。

 それをグイグイ押し出してクライアントを説得できるだけのコミュニケーション・スキルをお持ちの方でしたら話は別ですけれども。

 そのためにも〈選択〉がいちばん重要なポイントになるとおもいます。

 どれが「Fine(ステキ)」で、どれが「Good(イイね)」で、どれが「So-so(まあまあ)」で、どれが「No way(ぜったいにダメ)」なのか、それが見えてこなければどうしようもありません。

 なにしろ画像生成AIをつかったときの画像「作成」速度は、わたしたち人間が描く速度の何百倍ですし、しかもわたしたちに必要な労力はいままでの仕事にくらべて何百分の1にしかならないのですから、はっきりしたコンセプトをお持ちでない場合、画像を作成させる数にキリがなくなります

『とにかく、甘えたい、狂わせたい』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

 あまりにも楽なので、どんどん作らせるのは良いのですけれど、なにを選んだら良いのかわからなくなるかもしれません。

 いえ、たぶん、これがいちばんの問題になるのではないかとおもわれます。

 この時点で、どうしても専門に絵の勉強をなさったデザイナやイラストレータの方たちの知識が必要となってきます。

 クライアントの意向をくみとって、相手がどのようなものを求めているのかを判断し、作成されたものからそれを選択(ピックアップ)できる能力は、やはりプロのデザイナやイラストレータでなければ無理だとおもいます。

 線や面や色についても、そういう専門用語に強い方がおられないと、コミュニケーションそのものが頓挫(とんざ)してしまうかもしれません。

『そんなことわかってるよ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee

 つまり、画像生成AIの登場によって、なにが変わるのか、と問われれば、〈原案〉以上に〈選択〉という作業に重要性(ウェイト)が移っていくと答えるしかないようにおもうのです。

 あとは、とうぜんのように専門のデザイナとイラストレータの技術を必要とする〈編集〉という作業が残ります。

 絵にたいする知識とセンスをそなえているだけではなくて、画像編集ソフトを使いこなせる能力をもった方たちがいなければ、画像生成AIだけでは、どうしても業界基準を満たすものは作れないというのが現状だとおもいます。

『飛ぶのが怖い、だなんて言わせない』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

⑤人工知能はクリエータから職を奪うの?


 とにかく、画像生成AIは、去年あたりから、メディアでハイプ(Hype:一時的な狂騒)みたいになっています。

 デザイナやイラストレータなど創造的なお仕事をなさっている方たちのなかには、期待と不安のあいだをゆれうごく思いを抱えていらっしゃる方も多いのではないかとおもいます。

 ウェブニューズなどを見ても『AI(人工知能)は人から職をうばうのか?』という不安をあおるような特別番組もすくなくありません。

 でも、ニューズ番組なのですから、とうぜんヒトの目を引かなければいけませんし、視聴率をあげるためにそのようなタイトルをつけるのは、どうしてもしかたのないことだとおもいます。

 YouTuberの方々もそうでしょうし、ブログ記事をお書きになっている方々も同じだとおもいます。

 わたしも例外ではありません。

『えっと、なんだったっけ?』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 ただ、この件については、ひとつ、忘れてはいけないことがあります。

 それは、『人工知能は人から職を奪うのか?』という質問そのものが、じつは、はじめから的をはずしているという事実です。

 あるイラストレータが働いている広告代理店やプロダクションに、とつぜん映画『ターミネーター』で有名になった強面(こわもて)のマッチョロボットや『エクスマキナ』でお馴染みの美人ロボットがやってきて、「明日からあなたの代わりにイラストを描くことになりました○○です」と挨拶をするような場面は、映画のなかではおもしろいかもしれませんが、現実はそれほどカラフルではありません。

 それが、たとえ、人型ロボットではなくて、PC(パーソナル・コンピュータ)上でうごいているGPT-4であっても、または、Midjourney v5であったとしても、営利を目的とする店舗や会社や企業が、ある職を必要とするか否かは、AIではなくて、あくまでも、その組織や社団法人の所有者(Owner)や雇い主の判断によるものだということを、わたしたちはついつい忘れがちになります。

 AIそのものが「あなたの代わりにわたしがその椅子にすわります」と宣言することはありえません。

 職を奪うのはAIではなくて、あくまでもヒトなのです。

『ふん、ふん、ふん』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee

 人工知能を導入するかわりに従業員の数を減らすのか、それとも従業員の仕事の質をあげるために人工知能を導入するのか、という決定は、すべて、その組織を所有している個人や雇い主、もしくは彼らの意向を受けいれなければいけない立場にいる方々の判断によるものなのですから。

 そういう意味では『その裏の事実をついつい見落としがちになるのはどうして?』という質問のほうが、もしかしたら、よく言われる『AIの登場によって消えていく職業は?』というテーマよりも、はるかに、人工知能がつきつけている問題の核心に近づくことができるのではないかとおもいます。

『あたし夕日が好きです』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 では、このことを頭の片すみにおさめたあとで言わせていただくと、わたし個人としては、画像生成AIがクリエータの方たちの職を奪うとはどうしてもおもえません。

 そのうち、このHype(一時的な狂騒)もおさまるでしょう。そして、じっさいの生活や職場にAIが溶けこんでくるようになるでしょう。そのときには、タイプライターがひろまり、ワープロが登場し、そしてPCが会社に導入されるようになり、広告業界ではPhotoshopやClip Studio Paintがあたりまえとなり、建築デザイナのあいだではCADや3Dコピー機が手足になり、といったふうに環境が変化していったプロセスと同じように、「このAIを使いこなせる人を求めています」とか「このAIを使うための資格をお持ちの方をさがしています」という日々がおとずれるのではないかとおもっています。

『もう地球に帰ろうよ』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee

「いや、そんなことはない。AIはいままでの『お道具』と同じではない。人工知能というのはヒトと変わらない能力、いやそれ以上の能力と判断力をそなえたものなのだから、タイプライターやワープロやPCなどと同じ次元で語ることはできない」

 そうおっしゃる方もおられるとはおもいますけれど、画像生成AIについていろいろと考えてみた結果、わたしはそうではないような気がしています。

『ちょっと待って、いま撮るから』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

⑥2022年は人工知能元年だった?


 ところで、読者のみなさんは、たぶん10数年前あたりから、2022年がAI(人工知能)元年になるという筋書き(plot)を耳にしたり目にしたりしていたでしょうし、さまざまなメディアを通してご存じだったとおもいます。

 2022年にはAIがさまざまな産業に多大な影響をあたえるようになるでしょう、という予測は、まるで政府広報みたいな感じで、それとなくひろめられてもいましたし。

 人工知能がみずからをどんどん進化させていくようになると、そのうちヒトの知能を完全に超えてしまって、わたしたちがいまだかつて目にしたことのない圧倒的な知性が誕生するというレイ・カーツワイルさんが2005年に提示した仮説【シンギュラリティ】(Singularity : 技術的特異点)はあまりにも有名です。

 ヒトの何兆倍にも賢くなった【無機的知能】(Inorganic Intelligence)から人間を見たら、どんなふうに見えるのでしょうか。

 わたしたちが抱えているあらゆる問題を解決してくれそうな期待がもてるのと同時に、そんな人工知能から見たら、わたしたちヒトなどはアメーバ以下の存在かもしれなくて、なんとなく寒気を感じるのはしかたがないことかもしれません。

 でも、ほんとうにそんな人工知能が生まれるのでしょうか?

 もしそれが可能なのだとしたら、それは、ある特定のプログラマーたちによって暗号化(coded)された結果による、ある特定の思考法にもとづいたアルゴリズムで動作しているものではなくて、ほんとうのほんとうに自律的な(autonomous)計算が可能なものでなければ『真のAI(Artificial Intelligence)』とは言えないのではないかとおもっています。

『いつになく、わたし自身』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Easy Diffusion Web UI

 もともと、特異点(Singularity)というコトバは、数学や幾何学においても用いられていましたし、宇宙物理学ではブラックホールの中心にあって宇宙の生成に関係しているのでは、と考えられているようなものらしく、工学をふくめた理系(sciences)だけではなく文系(humanities)のほうでも、さまざまな意味あいで使われているようです。

 ついさきごろも、中央線の電車に乗っていましたら、中学生とおもわれる2ー3人が、開閉扉の近くでその話題にお熱をあげているのを小耳にはさみました。

 そのシンギュラリティが2022年におとずれるという予測が、ぽつぽつと出まわるようになったのは、たしかコロナ騒動が起こる直前だったようなおぼえがありますけれど、そのときは「さすがにそれはちょっとありえないかも」なんて思っていました。

『お客さま、ベルトをお締めください』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Stable Diffusion Web UI

 でも、昨年はじめにGoogleの『LaMDA』がヒトと同等の知性と感情をそなえているというエンジニアさんのクレームが話題になったり、また、今年になってGPT-4などが現れ、電気自動車『テスラ』(TESLA)のイーロン・マスクさんやその他の大企業の最高経営責任者(CEO)の方たちが、公開質問状(Open Letter)というかたちで「いま起こっている人工知能の開発の速度は社会全体を危機におとしいれる可能性がある」とIT業界に警告を発し、「少なくとも6ヶ月間は開発を中断(pause)させる必要がある」とうながしたというニューズに触れたりしますと、もしかしたら、カーツワイルさんが予測した2045年よりも前に【シンギュラリティ】がおとずれるのかもしれない、とおもったりすることもあります。

 とはいっても、米国の経済学者さんのなかには、たしか2010年ころだったとおもいますが『IT業界の関係者たちが声高に叫んでいるシンギュラリティとはリストラのための口実である』とおっしゃっていた方もおられたように記憶していますし、はっきりしたことはわかりません。

 とにかく、半導体メーカーにとっては死語になりつつあると言われる『ムーアの法則』を元気づけるという役目を担った感じのカーツワイルさんなので、もしかしたら俗に言われる『科学的楽観主義』(Scientific Optimism)とやらに感染してお熱を出しているときに思いついた考えかもしれなくて、これから先、ほんとうに、どうなるのでしょう。

 科学はヒトが抱えているさまざまな問題を解決してくれる魔法の杖なのでしょうか?

 ほんとうに自律的な人工知能は生まれるのでしょうか?

 それに、半年間だけ、人工知能の開発をポーズ(中断:pause)させたとして、なにかが変わるのでしょうか?

 そのあとはもっとすごい勢いで開発競争にもどるのではないかとおもわれます。

「われわれは、CEOの立場として、いちおう警告は発しておいたからね」というイーロン・マスクさんたちの公開質問状は、新たなパラダイム・シフトの雪崩(なだれ)にまきこまれている方たちからしてみれば、億万長者たち(billionaires)によるたんなるポーズ(態度:pose)なのでは、とか、CEOたちによるたんなるパフォーマンスなのでは、とおもわれてもしかたがないのかもしれません。

『ねぇ、聞いてる?』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee

 とにかくAI(人工知能)ということばが、知らず知らずのうちに、わたしたちの頭のかたすみに宿って、期待と不安の両方を刺激しているのはまちがいないとおもいます。

 そういう時代のなかを生きているのですから。

 たしかに、イーロン・マスクさんが警告していたように、OpenAIが登場して、2022年の夏あたりからは画像生成AIの可能性がささやかれるようになり、暮れにはChatGPTが登場したあと、この2023年になってからは、その進歩のスピードがとまらなくなっているように感じられてなりません。

 最初に書いているとおり、日々、新しい画像生成AIとサーヴィスが誕生しているような状況です。

 開発に手をそめている方たちは、ご自分の発明がなにをもたらすのか、社会にどんな影響をあたえるのか、ということに心をくばる余裕などないはずです。

 そんなことを気にして悩んでいては競争相手に負けてしまうでしょうから。

 投資家/出資者(investor)の目を引くようなアイデアを打ち上げ、できるかぎり優れたものを、できるかぎり早く作りだして、その発明と権利を自分たちの会社ごと、大きな会社に高額で売りつけて、あとはサヨナラ、というのが現在のシリコンバレーでのビジネスモデルになっていると耳にしました。

 企業からの助成金や補助金(grant money)なくしては大学での研究だって思いどおりにはなりません。

 このようなビジネスモデルの登場も、いまの経済の仕組みのなかでは、しかたのないことなのでしょう。

 原子爆弾だってこのような経済戦争を元にした競争によって生まれてきたのでしょうし。

 そういえば、2014年のMIT(マサチューセッツ工科大学)でのインタビューでイーロン・マスクさんが発したことばをお借りすると「人工知能(AI)は原子爆弾よりもはるかに危険だ」(A.I. is far more dangerous than nukes.)ということのようです。

 でも、逆に考えれば、それだけの力をもっているだけに、人工知能との付き合い方ひとつで、もしかしたら、いまだかつてヒトが経験したことのない可能性だってひろがるのではないでしょうか。

 その方向を決めるのは、核兵器というものを手にしてしまったために新たな悩みをかかえることになったわたしたちの歴史が教えてくれるように、あくまでもわたしたちヒトの知性と理性と対話とハートに託されているのかもしれません。

 そう思えてなりません。


『笑顔で、未来』prompt & title by Kazuki Yoko | generated by Diffusion Bee





【備考】

 AIに画像を生成させるための「プロンプト」を書くにあたり、人名はいっさい使っていません。

 ここでいう人名とは、画家、イラストレータ、建築家、各種のアーティストやデザイナ、漫画家、アニメ作家、アニメ制作会社や陶芸家などの名称にくわえて、映画監督や俳優やミュージシャンや著名人、そして一般人をふくめた、ネット上にデジタル化した画像(セルフィーなどの写真をふくむ)をアップロードしているであろう方たちすべてがふくまれます。

 また、現在のネット上に画像としてアップロードされている、あらゆる種類のプロダクトの作り手およびメーカーやブランドの名称(ポルシェ、Honda、ナイキ、VANS、アップル、シャネル、アンダーアーマー、資生堂、H&M、バレンシアガなど)についても同様に使用していませんし、これから先も使うことはありません。

 なお、絵画や芸術における流派(たとえば、印象派、ダダイズム、シュールレアリズム、未来派、ポップアート、コンセプチュアルアートなど)およびサイエンス・フィクションにおけるサブジャンル(たとえば、スティームパンクやサイバーパンクなど)については使用されていますし、これから先も使用する可能性はあります。


[Note]

When writing a "prompt" for AI to generate an image, no names of individuals are used.

By "names" here, it includes not only the names of artists, illustrators, architects, various artists and designers, cartoonists, anime creators, anime production companies, potters, etc., but also all individuals who have uploaded digitally converted images (including photos such as selfies) on the internet, including film directors, actors, musicians, celebrities, and the general public.

Additionally, names of makers, manufacturers, and brands of all types of products uploaded as images on the current internet (such as Porsche, Honda, Nike, VANS, Apple, Chanel, Under Armour, Shiseido, H&M, Balenciaga, etc.) are not used, nor will they be used in the future.

However, the names of artistic genres (such as Impressionism, Dadaism, Surrealism, Futurism, Pop Art, Conceptual Art, etc.) and of subgenres in science fiction (such as Steampunk and Cyberpunk) are currently being used and may be used in the future.




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